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不滅華

ずいぶん年上のような気がしていたけれど、気づいたらとっくに君の年を追いこして、まるで君が最初から年下だったような気がしてきた。
「素敵な大人」になった君も見てみたかったと、今になって思うよ。

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posted by: mngn1012 | 日常 | 23:40 | - | - |

D-BOYS STAGE Vol.3「鴉〜KARASU〜10」@大阪シアターBRAVA!

13時公演を見てきた。

二階の中央付近の席。遠いけれど全体を見渡せるという意味では良い席だった。
しかしD-BOYSのファンクラブは自分の御贔屓メンバーである「チェックメンバー」をひとり登録できるのだが、チェックメンバーの荒木さんが出ている舞台より、チェックメンバーが出ていない前回の方が格段に席が良いというのはどういうことなんだろうな。関係ないのかしら。

以下ネタバレ。

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posted by: mngn1012 | ライヴ・舞台など | 22:35 | - | - |

峰倉かずや「最遊記RELOAD」10

峰倉かずや「最遊記RELOAD」10

「最遊記」の終盤、「先生」と呼ばれている烏哭が裏で手を引いて操っていた「カミサマ」との戦いに辛くも勝った三蔵一行が、死にかけのボロボロで仰向けに倒れて、そんな状況とは思えない軽口をたたき合っていた。今回の「RELOAD」ではその烏哭本人と戦って、勝てなかったけれどなんとかひと泡吹かせることができた一行がやっぱり四人まとめて死にかけのボロボロになって、地面に倒れて呑気な言い合いをしている。既視感。また同じことをしている。結局は同じ敵相手に戦って、また今回も勝てなかった。それは一見、かれらの旅が堂々巡りであるかのように思える。
「最遊記RELOAD」は、無我夢中に目の前にいる敵を倒すことだけを見ていた三蔵一行が、その先を見るためのものだった。烏哭と戦いながら、悟空は思う。これまで知らなかった世界、問題、感情、痛み、そういうものを旅の中で知ってきたと。それはすなわちこの旅が、自分たちが目指すべきところ、自分たちの置かれている現状、自分たちの背負うものを見つめなおす旅だったということだ。ただ襲いかかってくる敵をなぎ倒して自分たちの身を守るだけでは何にもならない。私怨に駆られて戦い続けるだけでは意味がない。何をなすべきなのか、何のために誰のために戦うのか、そのことに向き合う時がきたのだ。
奢りをなくし、虚勢を剥ぎ、自分を知る。自分が単なる虫けらでしかないと、かれらは知る。現に烏哭の前では、かれらは簡単に握りつぶされてしまう程度の存在だ。それでもその肉体に、五分の魂は宿る。なによりも貴い、美しい信念が燃える。それさえあれば、Even a worm、虫けらでさえも、大きなカラスに報いることができる。

遠くへ高く大きく飛翔するために、一度彼らは歩みを止めて膝を曲げる必要があった。
引き金を引き続ければ弾丸はなくなる。これからも戦い続けるためには、弾を再装填する必要がある。物質の弾丸は消費されれば減るし、いつかはなくなるけれど、現実を痛感した上で明確な意図や目的を持った信念は、魂は擦り減らない。何度もぼろぼろに踏みにじられ、それでも再装填された魂は、あとはぶっ放されるだけだ。BLASTされるだけだ。

作者の体調不良などが続き、長い間を掛けてようやくシリーズは完結した。RELOADというタイトルや、長く続いたサブタイトルをきれいに回収して余りある、芯のぶれない終わりだった。
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posted by: mngn1012 | 本の感想 | 01:07 | - | - |

夏水りつ「恋とはどんなものかしら」

夏水りつ「恋とはどんなものかしら」
新しい下宿先に引っ越した初日、百目鬼は隣人の二ノ宮が泣いている姿を偶然見かけてしまう。同じく同居人である女たらしの彩賀を悪しざまに言うくせに、かれを意識しているのが丸分かりな二ノ宮のことが、百目鬼は気になって仕方がない。

弟妹の多い兄弟の長男である百目鬼が引っ越してきたのはそれぞれの部屋以外、トイレや風呂共同使用する、アパートというよりは下宿である。管理人は殆ど不在で何人かの住人は出張などでおらず、暮らしているのは二ノ宮と彩賀と百目鬼だけ。彩賀は嫌味なところのある男前で、次から次へと女と付き合っては別れるを繰り返しているらしい。反対に二ノ宮はえらく真面目で、彩賀を常に批判している。
しかし百目鬼は両方と接しているうち、彩賀がそんなに非難されるような悪い人間ではないことと、二ノ宮が他人を上っ面で判断してどうこう言うような人間ではないことを知る。ならばなぜ二ノ宮があんなにも彩賀を悪く言うのか、その理由をかれは、二ノ宮の表情から知ることになる。どうせまたすぐに女と別れるくせに、どうせ振られるくせに、と寂しそうに微笑んで言う二ノ宮は、自覚のないまま彩賀に恋をしていた。

地味眼鏡でフツーにスーツを着ている二ノ宮は、どこにでもいるサラリーマンだ。人見知りなのか百目鬼に素っ気ない態度を取ってしまうけれど、本当は親切で優しい、そしてちょっと間の抜けたところのある男だ。引っ越しの挨拶を手渡すタイミングを逃した百目鬼が部屋のドアノブに袋ごとぶら下げておいたのを見て、お礼とばかりに手元にあったみかんをビニール袋に入れて百目鬼のドアノブにぶら下げておく二ノ宮がとてもかわいい。しかもメモではなく、みかんの皮に挨拶のメッセージを入れるずぼらさがまたかわいい。なんでもない小道具でそのひとのキャラを表すのが相変わらずうまいと思う。

二ノ宮が彩賀のことを好きだと気付いたのと時を同じくして、百目鬼は自分が二ノ宮を好きだということにも気づく。自分の気持ちに気付いていない二ノ宮に向かって、早く彩賀にふられてつけこませてくれと頼むところが、そして更にそんなことを言った自分を不甲斐なく思ってしまうところが、百目鬼という男を顕著に表している。そんな自分をずるくて情けないと思っているようだけれど、誰かに残酷になったり衝動が抑えきれなくなってしまうのが恋だ。そういう恋を、百目鬼は二ノ宮に出会って初めて知った。毎日楽しくてきらきらしているだけが恋じゃないのだと、かれは知った。
付き合うまでも晴れて付き合いだしてからも、とにかくうじうじしている二ノ宮と、二ノ宮よりはましだけれどネガティブ思考に陥りやすい百目鬼のやりとりがいい。夏水さんの書く赤面男子、うろたえて失敗する男子、すぐ涙ぐむ男子が好きで仕方がない。

付き合ってから、なかなか進歩しないどころか後退しているようですらある関係に痺れをきらした百目鬼が、ひとつの賭けに出る。自分を避けてばかりいる二ノ宮が自分をどう思っているのか、これからのことをどう考えているのか、知るにはもうこれしかなかったのだ。
百目鬼にしてみればギリギリまで結果が分からないその賭けは、煮え切らない関係を脱却するための手段だったけれど、かれ自身をも追い詰めることになる。賭けに負けたのだと思い込んだかれが、ひとり部屋で涙ぐむシーンが可愛い。そのあとやってきた二ノ宮も涙ぐんじゃって、さあ大変。大の男が恋に泣いて抱き合うとかもう可愛すぎる…!もえる!こうでなくちゃ!

女にだらしない彩賀と、かれに恋をした管理人の弟・侑の話も可愛い。まだ高校生の侑はどうやらお金持ちのお坊ちゃんらしく、お金の力と恋の力と若さで大暴走。けなげというよりはちょっと怖いくらいの執着なんだけれど、それも真っ赤な顔と必死な瞳で許せてしまう。彩賀に罵られる変な髪型も、常月まといみたいなおかっぱで可愛らしい。二人の事後話はないのかな。

山田くんと田中課長も収録。課長は山田くんのことをかなり意識しているけれど、山田くんは相変わらずどうでもよさそうでつれなくていい。かと思えば課長の無意識の行動に思わず笑ったりするので憎めない。

あとがきに出てくるブルボンも含めて、とってもいつも通りのクオリティな一冊。胸キュンできて癒される。
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posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 15:34 | - | - |

ねこ田米蔵「妄想エレキテル 限定版」

ねこ田米蔵「妄想エレキテル 限定版」
高校生の春平は、幼馴染みでマンションのお隣さんである文博からいきなり、ゲイであるとカミングアウトされる。しかも男から告白されたので付き合うことにしたと同時に報告され、混乱した春平は文博を意識し始める。

どうやらこれまで女の子と付き合ったこともある文博通称ふみのいきなりのカミングアウトが、春平にはかなり衝撃だったらしい。顔はいいけれど頭があまりよろしくない、後先考えないかれはその瞬間から、ふみが男と付き合っている妄想に襲われることになる。どんな相手なのか、今まで気にせずかれの前で裸になっていた自分は大丈夫なのか、どういう風にすごしているのか、とにかくバカな妄想が止まらない。
その妄想は現実に介入し始める。幼いころからの親友であることや、気の置けない間柄であることが災いして、春平は気になったことをふみにそのまま聞いてしまう。もしくは妄想の暴走と混乱のあまり、言ってはいけないはずの言葉が口をつく。その、悪気がないけれど思いやりのない言葉にふみは怒るでも嘆くでもなく、ただ諦めたような哀しい顔をする。それはさすがに春平の罪悪感を煽るけれど、謝ったところで二人の関係を気まずくするばかりだ。

本人があとがきで書いていたように、とってもこれまでのねこ田さんらしくない二人である。読み進めても、どっちが攻なのか分からない。むしろ多くのひとは受攻を反対に捉えてしまいそうだ。かく言うわたしも最初に受だろうと思っていた方が攻だった。そしてこれまた本人が言っている通り、受に色気がない。そういうある意味特殊な設定ではあるが、ものごとを額面通りにしか受け取らない春平と、正直な気持ちを殆ど言葉にしないふみという、なかなか気持ちがかみ合わない二人のやりとりはもどかしくてすこし可笑しい。
誰でもいいんなら俺でもいいんじゃないか、と言い出した春平と、実はずっとお前のことが好きだったんだ、と告白したふみの言い分は、二人が付き合うことで成就する。けれどそれは形式だけで、あまりにも気持ちの重さの違いすぎる二人は、いざ付き合ってからもすれ違う。友達の独占欲の延長でしかない春平と、ずっと恋愛感情を抱えてきたふみが簡単にうまくいくはずがないのだ。
一歩は踏み出したものの、大団円まではかなり遠い二人。これから、というところで終わるのがもどかしい!
小柄で可愛い顔をしているけれど、鬼のようにきつい性格の里中がまたいい味を出している。しかも性格が悪いだけでなく、情緒というものが一切ないときている。面倒だからそれをすっ飛ばしたいというよりは、それを見出せていないようだ。かれが主役のスピンオフもあるようなので楽しみ。

前作「オトナ経験値」とスピンオフ「コイビト基準値」のその後の話も収録。
相変わらず新海の齎す「快楽のドレイだー」な夢二と、夢二のことが好きすぎてピリピリしている新海。夢二はきっと永遠に新海が何に苛立っているのか分からないまま、むしゃくしゃしたかれに当り散らされたり謝られたりして生きていくんだろうな…本人が満更でもないようなのでいいか。

そしてそんな新海をからかうのが楽しくて仕方がないマルと、マルのことが好きで仕方がないムーも相変わらずだけれど、さすがにマルがムーへの執着心を表に出すようになってきたかな。ムーはなんでこんな男が好きなのかさっぱり分からないけれど、ともかくかれは長い間の片思いを実らせたことに舞い上がっている。幸せなのか疑わしいけれど、本人はバラ色のようだし、こういうかたちもアリなんだろう。珍しくマルが反省したので驚いた。
あとは上下にコマを割って、二組の話が同時進行するという試みもあり。面白かった。

限定版にはドラマCD「妄想エレキテルPlus」付。
17分ほどのドラマと、2分弱のキャストコメント。
ドラマはコミックスに収録されている「妄想エレキテルPlus」と、その後の話。前野さんの春平は想像通り、テンション高めの普通の高校男子という感じ。反対に安元さんのふみは想像できなかったんだけれど、言葉遣いが柔らかいので実際に音にするとちょっとオネエっぽいかも。中音〜高音だと普通に聞こえるんだけれど、低音なのでオネエ度が上がる。普通に先輩と三人で会話しているときはそんなこと思わなかったので、二人きりになるとオネエになるのか。攻なのに。嫌味ったらしく春平の言葉尻を取って呟くシーンは面白かった。
梶さんの里中は、可愛い見た目と正反対のキツい性格という作中の里中そのまんま。ぶりっこだけど実は黒いというキャラじゃなく、徹頭徹尾甘さが微塵もないタイプなんだけれど、いちいち言葉がキッツイので痛快。
自分の恋愛(と言うよりは犯罪?)を手伝わなければ関係をばらすぞ、という里中に対する二人の反応の違いが面白い。別に良いと言うふみと絶対に嫌だという春平、の構図までは分かるんだけれど、春平の理由がばかばかしいものだから、それをふみが揚げ足とって暴走してしまう。さすがの里中もげんなり。
まだ恋人というわけでもない微妙な関係の春平とふみが微妙にいちゃいちゃしているより、ドSの里中とおバカの春平と歪んだふみで掛け合いしている方が好きだ。
コメントは自己紹介と挨拶くらい。梶さんがいじめられてて面白かった。

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posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 21:31 | - | - |

「萌え男子がたり」

「萌え男子がたり」

自分がどういう男子に萌えているのかということを52組の漫画家がコラムとイラストで描いたもの。それぞれ見開きの右にコラム、左にカラーイラストを載せている。

参加している作家の殆どはBLジャンルで活動しているか、活動しているいくつかのジャンルの中にBLがある作家だけれど、基本的にここで示されているのはその作家の萌える男子単体であって、関係性には殆ど言及されていない。絵も殆どは一人。それぞれの作家が語るエピソードを読むと、ずっとこういうタイプのキャラ(二次元)が好き、というひとと、こういうタイプの男性(三次元)が好き、というひとがいる。それも芸能人などの遠いひとである場合と、それこそクラスメイトのような、恋愛に発展しうる身近な存在である場合とさまざま。「萌え」という具体性を欠く代わりに汎用性の高い言葉を使っているために内容が分かりにくくなっているけれど、要はフェティシズム語りだと思う。筋張った体が好きなの!美形なのに服装がダサいとたまんないの!みたいな。
コラムの文体も当然さまざまで、熱っぽく自分の萌えを語るひとやら文芸チックなひとやら、個性が出ている。

BLで活躍する作家がたくさん出ているとはいえ、関係性を言及しているのは語シスコさんだけで、基本は男性のどういうところに萌えるのか、グッとくるのかということに重きが置かれている。ほとばしる情熱や一方的にぶつけられる萌えに同調できると楽しいし、たとえ感覚が合わなくても、その作家のこれまでの作品を思い返せば妙に納得できてにやにやすることができる。その代わり参加作家メンバーゆえにBL的ななにかを求めてこれを読むと、肩透かしをくらうと思う。
何を求めていたかによってかなり反応が変わりそう。10月末までは出版社のHPで一部読めるので、そこで雰囲気をつかんでもいいかもしれない。あと数日で読めなくなるようだが。

コラム内容としてはまんだ林檎さんがひとり別次元ですごく良かった。彼女の萌えの内容をわたしは体感できないけれど、非常に読み応えがあって胸がしめつけられた。なりたかったもの、あこがれたもの、決して手の届かないもの。それをガラス越しに見つめるしかできない、やがて失われていくものを見届けることしかできない。やおいだなあ。

こうなってくるとあの作家にも参加してほしかった、この作家ならきっと面白いものを書いてくれるに違いない、と思い始める。あとは漫画家だけでなく小説家でも読んでみたいひとがいるので、もうちょっと企画をなんとかしてうまく続編を出して欲しいな。たまに雑誌のリレー企画とかでやってるようなものでいいから、ぜひ。
BL作家が殆どなんだからもっと関係性の色を濃くしてもいいんじゃないかな、わたしが読みたいだけなんだけど。

しかしリアルっぽい萌えメインなので、誰も妖怪とかアンドロイドとか言わなくてさびしかった。マントとか軍服とか!軍服マント白手袋男子最高ですよ。甲冑も最高ですよ。
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posted by: mngn1012 | 本の感想 | 21:17 | - | - |

佐倉ハイジ「赤い目をした少年は」

佐倉ハイジ「赤い目をした少年は」
友人の弟である了からいきなり告白された良行は戸惑うけれど、思いつめた了を突っぱねることもできず、煮え切らない返事をする。めげずに片思いを続ける了の態度に、良行は翻弄され始める。

ハイジさんの作品はそこそこ読んできたけれど、その中ではこれが一番好きかもしれない。

良行にしてみれば、了は子供だった。友人の弟として何度か会ってはいるものの、社会人であるかれにしたら高校生はまだ子供だ。そんなかれがオヤジといるところを見て、それが単なる知り合いなんかじゃないと分かっても、そのあと何をするつもりだったのかを知っても、かれは状況を把握しきれなかった。

そして更に、了が自分に向けている気持ちも明かされる。それを知っても良行はどうすることもできなかった。かれに恋愛感情を持っていたわけではないので受け入れることは到底できないけれど、全てを突っぱねてしまうこともなぜかできなかった。どうして自分がかれを拒みきれないのかもはっきりしないまま、良行と了は同じ時間を過ごすようになる。傍から見ると付き合っているかのように見える行動を取り始めるこのあたりがすごく不思議なんだけれど、違和感がないのが作風のなせる技なんだろうと思う。
二人は色々なところに出かけたり、家でだらだらしたり、時間を過ごす。何気ないその時間の中でも、了がどんなに良行のことを好きなのかは伝わってくる。長い片思いで切羽詰っているとは言え、思いつめすぎない、微妙に力の抜けた感じがいい。やっぱりどこか緩い。良行も良行で、煮え切らない態度をとり続けることになるんだけれど、それが残酷であったり無神経であったりするようにはなぜか見えない。かれがやっていることだけを羅列すればすごくひどい男のはずなのに、絵柄や独特の間がある所為で、「そういう人なんだ」と解決してしまう。

了に気持ちに驚き、怯え、困っていたはずの良行だったけれど、元々可愛がっていた了の真剣な気持ちに次第に心が動く。もしかしたらかれ自身も気づいていなかっただけで、最初から好きだったのかもしれない。ともあれ無自覚的に両思いとなったかれらは、ゆっくり恋人になっていく。劇的なことはなにひとつないけれど、お互いに相手の隣がすごく居心地良さそうで可愛らしい。
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posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 19:35 | - | - |

梅太郎「パパおかえり」2

梅太郎「パパおかえり」2

志郎が春生に「恋愛してお嫁さんになって 死ぬまでずっと家族でいよう」と、プロポーズのような告白をしたことで、二人の関係は新しい局面を迎えたかのように思われた。しかし、いざそうなると、言いだしっぺの志郎が家に帰ってこない。カメラマンのかれは仕事だの何だのと言い訳をつけて、明らかに春生を避け始める。

とにかく春生には自信がない。いくらクラスで一番背が低くて、女の子のような顔立ちをしていると言ってもれっきとした男子高校生だ。ゲイじゃない志郎の、明らかにふかく考えたわけではないであろう告白を真に受けることなどできなかった。好きだから、ずっと好きだったひとだから、久々にあってやっぱり好きだと思ったひとだから、そのひとが自分に恋をするなど信じられなかった。
たとえその時は本気で思ったとしても、ひとの心は変わる。単純でお人よしの志郎は春生の熱意に流されて自分も恋をしているかのように思ったけれど、あとで冷静になって我に返ったのではないかとまで思った。それはかれの元々の性格だけが原因ではなく、志郎にも問題があった。

相手を思うがゆえに本人に隠れて努力したり奔走したりする攻や、相手が好きすぎて一緒にいると自分を律することができないから露骨に距離をとって接触を拒否する攻はBLのテンプレだ。付き合い始めたばかりの攻がいきなり冷たくなった場合、殆どがこのどちらかのパターンに当てはまるとすら思える。
(予断だが受がいきなり冷たくなった場合は、キツい自分が好きだって言ってたからデレデレしたら嫌われるんだという恐怖によるものか、相手は自分を経験の少ない純情な子だと思ってるけど実際はそうじゃないから知られたくない、の二つが殆どだと思う。)
志郎も例に漏れず。かれは自分でも想像だにしていなかった恋に夢中になって、春生のことを最優先に考えた結果ある行動に出るのだけれど、春生にしてみればこれまで毎日帰ってきていた志郎が連日戻らないことに、ポジティブな予想などできるはずがなかった。

元々同性愛に戸惑っていた志郎だから、春生が立派な男だと思い知っていやになったんだろう、という結論に春生は行きついた。誰も帰ってこない家でひとしきり泣いてわめいて落ち込んで、かれは少し長かった髪を切った。自分はどこまで行っても男でしかない。子供が産めるわけでも結婚できるわけでも、柔らかい体があるわけでもない。更に成長期の自分は、日に日に男性らしくなってゆくのだ。だからもう、自分や周囲の人間を騙すことに限界を覚えて、かれは普通の少年になった。このあたりの決断は非常に男らしくて凛としていていい。半端な煮え切らない状況が続くのであれば、もういっそ、断ち切ってしまいたかった。
それは不安に苦しめられたことから逃げたいという春生の願いであり、志郎を解放してやろうという愛情表現でもあった。好きだからこそもういいんだと、自由になっていいのだと言ってやりたかった。男をすぐに変える母との二人暮らしに耐えていると、結局彼女は再婚して出て行った。いきなり現れた父は得体が知れない。最初に好きになったパパはおひとよしが過ぎる。そんな人間関係の中で、春生は成長する。心も体も知識も経験も、あらゆることをかれは試せるようになった。そして志郎も、仕事を続けながら日常生活を手に入れることができたのだ。

色々ありつつも遠回りした二人は結局めでたしめでたしに行きつくことになるけれど、波乱づくめ。それまでの道は険しいけれど、いい景色がたくさん臨める。
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posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 00:26 | - | - |

薄桜鬼ポータブル 沖田総司ルート

二人目は沖田総司を攻略。
ネタバレ含みます。

以前も書いたけれど、「薄桜鬼」に出てくる沖田は、一般的なイメージである美形で誰よりも剣の腕がたって可愛がられている弟分、というものとは少し離れている。もっと毒があって、それを隠そうとしない。言葉がきつく残酷で、遠慮をしないかれのことを、皆そのまま理解している。昔からの付き合いだからと言ってかれを必要以上に子供扱いしたり、盲目的に愛でているようなこともない。
どちらかと言えば可愛がられているのは最年少の藤堂かな。あと沖田がダントツで強い、というような描写もなかった。むしろ斎藤の強さが前に押し出されているような気がする。

そんなわけで、意地悪沖田である。皆が言えないことを代弁してくれるだけでなく、余計なことも言う。何かあったらすぐ「殺すよ」と笑いながら言う。冗談ではなく、お前の命なんてそんな程度なんだという意味で、かれは笑うのだ。そして非常にひねくれものなので、自分に従順な態度をとらない主人公のことを面白がり、気に入る。言いなりのおもちゃよりは、暴れ馬の方が乗りこなしがいがある、とういうところか。
この沖田は森久保さんの声も相まって非常に良いキャラなんだけれど、惜しむらくは、わたしが心から選ぶ選択肢ではちっともかれの好意が得られないということだ。沖田ならきっとこういう方が好きなんだろうな、と思って選ぶと好感度が上がるんだけど、もし自分がこの立場ならどうするかと考えて選ぶと、気持ちいいくらいに相手にされない。ありのままのわたしじゃ駄目なのね!せつない。

池田屋でかれは風間千景と対峙する。一対一の戦いでは勝機がないと分かったとき、主人公が敵の気をそらす。小刀しか持たないような彼女の暴挙に沖田は怒るかと思いきや、好感度があがり、更にはこういうのだ。「いい子だね、あとでいっぱい褒めてあげる」と。これはね、卑怯だと思うよ…。そりゃキャアアアアってなるよ。なったよ。いい子だねって言われちゃったよ。もっと頑張るからもっと褒めて!って千切れるまで尻尾振り続けるよ。

なんとか風間との対決を免れた池田屋以降、沖田は体調を崩し、殆ど新選組の活動に参加できなくなる。先にやった斎藤ルートでは、池田屋以降殆ど沖田については伝聞や説明のみになっていたので、かれがどういう日々を送っていたのか気になっていたのだが、ここで補完される。その代わり沖田についてゆくことで、今度は新選組の活動状況が伝聞するのみになる。

自分の病が不治の死病であることを聞かされたあとも、沖田は変わらなかった。いつも通りのひとを食ったような態度を見ると、本当は病気じゃないのではないかとすら思えてくる。しかし健康そうに見えるかれだが、実際起き上がって活動するとなると咳が止まらなくなる。諌める主人公に向かってかれは、自分にできることは僅かしかない、敵を切ることしかできないと繰り返す。自信たっぷりにふるまっていたかれが病で気弱になったというよりは、心を許して以前から思っていた本音をぶつけてくるようになったという印象だ。

沖田ルートで重要な人物は、巡察中に浪士に絡まれているところを助けた少女・南雲薫だ。最初に彼女を見たときから沖田は、薫が主人公にそっくりだと言っていた。そのあとも街で姿を見かけたり、彼女らしき人物の目撃談が入る。斎藤ルートでは結局その後の経過が言及されないままだったが、沖田ルートでは薫のことが明らかになる。薫は少女ではなく少年で、主人公の生き別れの兄で、更に鬼だった。両親亡きあと、心優しい綱道に引き取られて幸福な少女時代を過ごしてきた主人公とは違い、薫はひどく辛い生活を余儀なくされたらしい。かれは自分の両親や、家族との楽しい時間を奪った人間たちを憎み、同じ境遇にありながら幸せに暮らしていた主人公をも憎んでいる。
似ていると言われていたので、何らかの血縁関係にあるのかとは思ったけれど、まさか男だったとは思わなかった。男装した妹と女装した兄ってなかなか不思議な二人である。そしてこの薫がものすっごく性格が歪んでいて、敵としては非常に厄介なんだけれど、物語としては痛快。超悪者。たまに見せる優しさや動揺はすべて演技で、かれの本心は一向にぶれない。最低だけどちょっと気持ちいい。

そして薫の差し向けた罠により、主人公を助けるために沖田は変若水を飲むことになった。全く君はこんなときまで、と苦笑しながら、なんでもないことのように飲んだ。散々悪態をついている主人公のために、かれはひとであることを放棄した。自分の体調に異変を感じ始めたときに、山南に変若水は病気も治るのかと聞いていたことがあったので、労咳を治す一縷の望みを見出していたのかもしれない。
罪悪感を覚える主人公に向かって、最終的に選んだのは自分なんだから関係ないと突っぱねるあたりもすごくかれらしい。優しい言葉や理性的な言葉ではなく、さも大したことではないかのように言うのだ。冷たい口ぶりで本当はすごく優しいんだけれど、それだけではないというか、どこかでかれはなるようにしかならないと諦めているようだ。それはどうせ変若水を飲まなくてもそれほど寿命が長くなかったからではなく、自分の価値をとても低い場所においているようだ。

斎藤動揺に、羅刹となって発作を起こす沖田に、血を与えるか薬を与えるが我慢させるかという選択肢が出る。「血はいらない、狂いたくない」とはっきり言うかれに対して、それでも血を与えなくてはならない。実際与えて楽になると沖田は感謝してくれるのだけれど、そのときに言われる「ありがとう」を聴くたびにやりきれない気持ちになる。弱気になって微笑んで、すまなそうに言うところを見るととても苦しい。

印象的だったのは、この作品の沖田は近藤のことが大好きで、土方には複雑な心情を抱いているというところだ。今まで読んだ新選組関連の物語だと、大抵沖田は土方にとても心を預けていた。局長として対外的な仕事の多い近藤に比べて、常に隊を指揮していたのは副長であるかれだ。そして大らかな近藤とは違って神経質で気分のむらが大きく、隊士から恐れられているかれの本質を知る数少ない人物として沖田は(あとは大抵山崎が)描かれていた。このゲームでも最初のうちはそうなのだと思っていた。土方に向かって「役に立たない人だなあ!」なんていってのけるシーンもあるけれど、それは心を開いてかれを慕っているからこその軽口だと思っていた。
けれどもう少し溝は深い。近藤が銃撃されたと聞いた沖田は、土方を責める。かれの作戦に問題があったのだ、かれが近藤を重んじなかったからいけないのだと主張する。近藤が実際に傷を負っているので土方も非常にショックを受けていて、必要以上に自分を責めてもいるだろうに、更に沖田が追い詰める。これは個人的には新しい沖田像という感じ。

どんどん増長する薫に、主人公は変若水を飲まされる。元々鬼である彼女が羅刹になるという展開にもびっくりした。そしてこれまで散々主人公を狙っていた千景が、彼女が羅刹化したと分かった瞬間に手のひらを返したように興味を失うのにも驚いた。切り替え早っ。でもこれは不幸中の幸いだ。ひとつの敵が現れると、ほかの敵は去る。うまい構造だと思う。

近藤が新政府軍に投降したと知った沖田は更に激怒し、土方と刀を交えようと決める。かれがどうしてこんなにも土方を憎むのかはっきりしないまま、ついに主人公と沖田は土方と再会する。近藤が斬首されたことについて、土方は多くを語らなかった。いかにかれが武士として、潔く死んでいったのかなんて、ひとつも言わなかった。
これはたぶん武士であること・士道を非常に重んじていた斎藤と、近藤というひとりの人間を心底慕っていた沖田の差なのだろう。兄のように父のように近藤を無条件に慕っていた沖田にとって、具体的な処刑方法などはきかせられない。沖田はそもそも武士であること、にあまり注視しているようでもないので余計にだろう。こんなときまで土方は聡明すぎるほど聡明で、冷静だ。
結局沖田は土方に刀を抜くようなことはしなかった。ただ、もうこれ以上同じ道は歩まないと決めた。確固たる理由というよりは、どうしようもないほどに合わなかったのだろう。主人公の実家の件がなかったとしても、ここが限界点だったように思う。

二人きりになってから、沖田は想い出話をした。自分にとって近藤がどれほど大きな存在だったか。そしてその近藤と一番仲が良かったのは誰だったのか。土方に向かう感情には、多分の嫉妬が含まれている。近藤が一番頼りにしたのは土方だった。そして土方は、かれの信頼を得るに足る人物だった。そのことが余計にかれを歯痒くさせたのだろう。
沖田は土方の腕や頭脳を非常に高く評価している。だからこそ、近藤が襲撃されたときや投降したときいて、怒ったのだ。土方であればそれらの事件は防げたはずだと無自覚的に信じているから、できるくせにやらなかったのだと責めたのだ。歪んだコンプレックスは結局解消されなかったけれど、今まで誰にも言えなかったことを主人公に吐き出して、沖田は少し嬉しそうだ。

そのあとの沖田は非常にポジティブになる。羅刹化したうえに薫の言葉に惑わされる主人公を、昔のかれのような皮肉な物言いで鼓舞してくれる。わだかまりを消化したことと、主人公が弱ったことによってかれは自分の存在を改めて実感したようだ。諦めるなら殺してあげる、と優しく言うかれがいれば、もはや怖いものなどない。

発作が起きる主人公に、血を飲むかと沖田が問う。既にかれは何度も主人公の血を飲んでいるけれど、ここで主人公が沖田の血を飲むことを選ぶとバッドエンドになる。散々飲ませておいて、狂いたくないから自分は飲まないという選択をするのはいかがなものかと思ったけれど、沖田は彼女の血だけを飲むことで自分を律し、主人公は自分だけが沖田に血を与えられるということで自分を保てるのだから仕方がないのだろう。その逆はなぜか許されないのだ。
父と薫と対面してから迎えるバッドエンドもなかなか進みごたえのある内容だった。真っ暗になって終わる斎藤バッドエンドとは違って、きちんとCGもあるし、それもひとつの結末なのだと思える。

正規ルートでは、綱道が父の心を持っていたためになんとか助かる。元々の血筋や変若水の所為でなく、心が既に修羅と化していた薫の荒みは痛々しい。主人公のあらゆるものを奪っておいて、最悪の記憶を思い出させておいて、ようやく自分たちは対等に慣れたのだとかれは笑う。かれだって一人で、寂しかったのだろう。報われないまま死んでゆく、恨みと憎しみにだけ生きたかれは被害者なのだ。

そして終章は数年後。実家近くの清い水によって、変若水を飲んだ二人の羅刹化は大分おさまってきた。しかし、沖田の労咳が治ったわけではない。山南は病気だって治ると嬉しそうに言っていたけれど、それに根拠がないであろうことも、かれが既に正気を手放し始めていたことも明らかった。それでも期待してしまっただけに、切ない現実が待っている。
太陽の光にあたることが苦痛ではなくなったふたりは、外で寝転んでいる。いつ訪れるともしれない別れの日に怯えながらも、ひとときの平穏を味わっている。こういうときは普段の分まで感情表現がストレートな沖田と、かれに乞われて素直になってしまう主人公の甘ったるいやりとりも可愛らしい。眠いという主人公と、眠くないという沖田。眠くないといいながら、かれは眼を閉じて、そのまま眠りについてしまった。
それが単なる居眠りなのか、それとも永遠に眼を覚まさない眠りなのかは分からない。どちらにせよ、後者は近いうちに二人の前にやってくる。そう思うとちょっと泣きそうになった。あらゆるものを取捨選択して、打ち勝って、それでも病気には勝てない。いつか訪れる順不同の寿命の終わりには勝てない。
たぶんこれでもし、変若水で労咳も治ったとか、清い水のおかげで労咳の進行が止まったというラストだったら、それはそれですごく不満だったと思う。だからこれでいいのだと思う。残酷だけど、そういう要所要所で生々しさを残している、良い作品だと思う。でもちょっとへこんだ。わたしはどうやらへこむ程度に、沖田にも夢中らしい。

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posted by: mngn1012 | 薄桜鬼 | 22:03 | - | - |

よしながふみ「きのう何食べた?」3

よしながふみ「きのう何食べた?」3

料理が好きだったり、もしくは好きじゃないにせよ料理をしているともっとこの本を楽しめるのだろうな、と思う。わたしときたら料理なんてものは週に一度するかどうかだし、やったとしても家にあるものを金額や賞味期限など考えず好き勝手に使うだけだし、なによりも思いっきり偏食だし、でこの作品の中に出てくる料理が美味しそうだと感じることもままならない。
これは決してよしながふみの表現が弱いのでも稚拙なのでもない。「愛がなくても喰ってゆけます。」を読んで、その店にわざわざ食べに行ったくらいには、作者の表現はわたしを揺るがす。単に、わたしにこの作品の料理を理解するための土壌が備わっていないのだ。だから、この作品を読んで、実際に料理したという友人の話などを聞くと、自分勝手にもうらやましくなってしまう。
でもインスタントラーメンに入れる半熟卵はいつか真似してみたい。ラーメンのかやくすら入れずに捨てるわたしだけれど。

料理面はそんな感じで相変わらずあまり心を揺らされることもなく。実際殆どのメニューは派手なものではないので、その料理の内容云々というよりは、手の込んだ作業の多いその工程中に登場人物たちが何を考えているのかということに重きが置かれる。
なにかの作業中、おもわず無心になる瞬間というものがある。流れ作業やルーティンだと特に実感できるし、そういう意味では家事もそういう部分を持つ。雑念がどこかに一時的に避難してくれて、頭も心もからっぽになれる、そういう瞬間。その瞬間をきっかけにして、仕事や家族の悩みについての打開策を見いだせるようになったり、ちょっとばかり気が晴れたりする。些細なことだけれど、そうやって皆毎日生きていくのだ。

いくら一緒に生活していても、恋人同士でも、相容れないことは沢山ある。有る程度人生経験を積んでから出会った二人だし、それぞれが全く異なる業種で働いているのだから当然だ。仕事で悩んだり、落ち込んだり、家族について色々思うところはある。相手のすべてを知っているわけでも、相手のなにもかもが最高に大好きなわけでもない。それでも一緒にいたいと思いあっている。そのバランスがすごくいい。
料理漫画だから、と言ってしまえばそれまでなんだけれど、筧が作った料理に対してケンジは常に嬉しそうにリアクションをして、食べて感想を言う。作ってもらったことを当たり前だと思って無言で腹に入れるようなことはしない。自分と同じようにフルタイムで働く四十路の男が、帰って料理をすることがどれほど大変なのかをかれは知っているということもあるんだろうけれど、それを前面に出すような重さはない。もっと自然に受け入れているし、もっと単純に喜んでいる。おいしそう、おいしいね、こんな料理もあったんだね、心からのその言葉と笑顔で、筧はまた明日も料理をするのだ。

職種柄なかなか休日が一緒にならない二人は、共通の休日の初日、昼間からビールを飲んで家で食事をしている。かれらにしてみれば、どこか遠出するのでも、なにかはりきったことを計画するのでもなく、いつもの我が家でちょっと手の込んだ食事を一緒に作って、昼間っからビールを飲んでだらだらすることが最高の休日なのだ。出来立てのラーメンを食べていたのならば電話に出なくても仕方がないと笑いあえたり、せっかくの休日を怠惰に過ごしたり、こういう価値観を共有できる相手と一緒にいられることって結構レアで、維持していくのはもっと大変で、すごく幸福なことだ。
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posted by: mngn1012 | 本の感想 | 20:36 | - | - |