スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

web拍手
posted by: スポンサードリンク | - | | - | - |

速水奨・石田彰・桑島法子・三木眞一郎・宮野真守「こころ」(原作:夏目漱石)

イメージ・アルバム,宮野真守,速水奨,石田彰,桑島法子,三木眞一郎
速水奨・石田彰・桑島法子・宮野真守「こころ」(原作:夏目漱石)

小説といえばやおいと純文学しか読まない、そういう時代が結構長かった。今は少しは現代のものを読むようになったけれど、それでも割合としてはかなり低い。別にこれといった理由はないのだが、それ以外のものはなんとなく合わなかったのだ。本に対してはお金を惜しまないという親の考えもあって、欲しい本は結構買ってもらえたのだが、そうなると自分が何を買ったのかは自然にばれてしまうので、そういう場合はここぞとばかりに純文学を買って貰った。そして自由に出来るお金でこっそりほもを買っていたわけです。早々にばれたけど。
余談だが、わたしの周りにいる、一線を越えた本好きと話すと、大体みんな親が本は幾らでも買ってくれた・寧ろ褒められたという過去を持っているようだ。それが良いのか悪いのかは、もはや自分の生活と部屋を追い詰めるほど立派な書痴に成長した今となっては分からないが、自分では満足している。

そんなわけで、最近ちょっとずつまた増えてきた、純文学のドラマCDというのはかなり心をくすぐられるシリーズだ。ただただ人間の真理を探して深遠をさまよい続けているような純文学と、不純物が殆ど含まれない、演技のコアな部分だけを取り出したようなドラマCDの在り方はとても合うように思う。

で、「こころ」である。
「私」視点で「先生」の穏やかな人柄が冒頭で僅かに描かれたあと、すぐさま物語は先生の過去へと移行する。「私」は宮野さん。今風の青年という感じがした。先生と比べると当然かれは若く明るい現代の青年なのだが、冒頭の「私」はテンションが高くてちょっと驚いた。ひと昔前の話なので、もう少し穏やかでも良かったかな、と個人的意見。
「先生」は速水さん。格好よくて困ります…。いいところのお坊ちゃんであるかれは、前半はとっても優しい好青年なのだけれど、それはかれがろくに苦労をしたことがない世間知らずだからだ。ひとを憎んだり妬んだりするような環境に置かれることがなかったからだ。明日に不安を覚えることもなく互いを讃え合い、受け入れて認め合うような友情を「K」と育んでいられれば良かったのだ。そんな「先生」は父の死後、人間の本性に向き合うことになる。その中で少しずつ荒み、疲れ、諦めてゆくさまがいい。
恋愛や肉欲を見下している「K」を石田さん。学問がすべてで、それ以外のことをすべて瑣末だとしている頑なな様子が出ている。一喜一憂する先生をどこか冷ややかな目で見ていたり、かと思えば金持ち息子の甘さを笑いながらも嫌いになれなかったり、前半のKは老人のようだ。
そんな二人の関係は、静の存在によって変化する。この静が桑島さん。明るくてまっすぐでお転婆な静はとっても可愛らしい。冗談を言っていても、まじめにしていても、とにかく可愛く、先生とKが彼女に惹かれるのは当然だと思った。きらきらしてる。

恋を知って落ち着かなくなった先生は、友人の吉岡に相談をする。遊び人で百戦錬磨の吉岡に三木さん。静を知らないかれが想像で発する言葉にいちいち動揺する先生は純でいい。「そうなのか!?」とか食いついちゃって可愛いのなんの。吉岡がまたわかった上でからかうようなことを言うのが意地悪で素敵。
恋に溺れてどんどん馬鹿になる先生がいい。ようやくかれは現実を知り、醜い感情を自覚する。小さなことで期待したり、Kと仲良く話している姿を見て絶望したりする先生のモノローグが見事だ。

KはKで、自分が少し前に言っていたことと実際の自分の感情との差に思いつめてゆく。恋を知って、それを明るく素晴らしいものだとは思えなかったかれは、次第に気鬱になってゆく。徐々にトーンダウンしてゆく声音がせつない。

しかしKの自殺を先生が見つけるシーンはちょっと物足りないかな。結末を知っているからなのかもしれないけれど、結構地味というかインパクトに欠けるシーンだった。しかし遺書は何度聞いても悲しい。

そして物語は現代へ戻る。このあたりはかなり駆け足で進められている。
CD一枚であの長くて重い話を表現する以上は、大幅な省略をせざるを得ないのだろう。このCDにおいては、省かれたのは現代の「私」と「先生」の物語だった。私が話す数言でしか、かれらの交流は図れない。なので、先生が自殺したあとの衝撃などはさほど大きくないのも仕方がない。Kと先生のどうしようもなく不器用で、目の前に救われる道があるのにそれからひたすら目を逸らしている生き方に意識がいってしまうので、この脚本で良かったのだと思う。三枚組くらいでやってくれたら一番文句はないのだが、さすがにそれは厳しかろう。
きっとこの一枚がちょうどいいのだ。シーンを抜粋してきたようなドラマだけれど、抜粋されたものの純度はかなり高い。

この流れで「女生徒」の朗読とかしてくれないかな、男性が。「正義と微笑」でもいいなー。
web拍手
posted by: mngn1012 | 音源作品 | 00:46 | - | - |

西田東「LIFE、LOVE」1

西田東「LIFE、LOVE」1
政治家である義父の秘書をしている新海は、視察先の海外で、父と間違って誘拐される。かれを監禁する役目を与えられたのは、失読症のチンピラ・ジャックだった。どうせ助けが来るとたかをくくっていた新海だったが、帰国した日本で汚職事件が発覚した義父は簡単にかれを見捨ててしまった。

この表紙すごくすきだ。くたびれたTシャツと色褪せたデニムが生々しい。

容姿が良く頭もきれる新海は、しかしながら本当は何も持っていない。義父は自分を息子として愛しているわけではなく、単に有能だからそばにおいているだけだ。それはつまり、有能ではなくなった瞬間に不要のものになるということだ。実際、義父はまだ若かった新海にその意志を示している。
そしてジャックもまた、何一つ持っていない。狭いアパートで、マフィアの下っ端としていいように使われる。理不尽なことでも黙って受け入れ、殴られ、耐えて毎日をやり過ごしている。
そんなかれには秘密があった。ひとつは、文字が読めないこと。計算はできるし、頭の回転が遅いわけでもない。おそらくそれは失読症なのだと、同じ状況の友人を見た経験がある新海は判断した。そしてもうひとつは、女性に興味がないこと。硬派なわけでも、幼いわけでもない。ただ、他のみんなのように興味が沸かないのだ。そしてその理由に新海が気づいたとき、ジャック本人も初めて自分の性癖をはっきり理解するのだ。

何も持たず、現在の居場所すらいつ崩れおちるのかわからないような状況で、二人は出会った。かれらの足元に広がる脆い地場は、どんどん不安定になってゆく。優しい言葉も、信じられる味方も、神もいない世界で、自分の立ち位置さえ分からないままに手を取って走り出した二人の行く末が明るいものであればいいと思う。

「抱かれてもいい」と傲岸不遜に上からものを言った新海は、はたしてジャックに対等な気持ちをいつか持つことができるのだろうか。繰り返す暴力と貧困の街を飛び出したジャックは、新しい世界へ飛び立つことができるのだろうか。かれらのLIFEもLOVEも今はまだ不透明なまま、始まったばかりだ。
web拍手
posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 23:06 | - | - |

大丈夫であるように-Cocco 終らない旅-

Coccoのドキュメンタリー映画を観てきた。
以下、ちょっと怖い信者の感想文。
続きを読む >>
web拍手
posted by: mngn1012 | 映像作品 | 00:22 | - | - |

機動戦士ガンダム00 #13「メメントモリ攻略戦」

メメントモリはカタロンの兵力を総動員してもさっぱり相手にならない始末。兵力も攻撃力も、戦術さえもすべてがけた違いで、仲間がどんどん消えてゆく中、目の前に接近してきたアロウズのMSが恐ろしい。俯瞰で戦争を見ていると、遠くにあるものが遠くからビームを打って、多くの命が一度に散ってしまうだけに思える。しかし、本当は自分たちが乗っている宇宙船の、窓一枚向こうに、殺意を持った兵器がうようよしているのだ。この距離感を忘れてしまうことはとても怖い。

リボンズの怒りを買った留美に対して、ネーナは素知らぬ顔で嫌味を言う。留美に服従しているようふるまいながらも、ネーナの心は全く違う方向を向いている。そして留美の狙いを知っているのかいないのか、彼女が全く望んでいないCBへの手助けを行った。ネーナにとって、CBのマイスターたちは味方なのか。ただ留美やイノベイターよりはマシだっただけか。それとも、これさえも彼女の気まぐれなのか。

圧倒的な力を誇るメメントモリを打破すべく立てられた、スメラギの戦術にはマリーも必要だった。自分でMSを運転したりするわけではないけれど、彼女もまた戦場に立った。ソーマ・ピーリスではなく、マリー・パーファシーというひとりの女性として、彼女は戦うことを選んだ。

囮になるダブルオー、トレミーを推進させるアリオス、序盤の戦いを引き受けたセラヴィーが限界になったとき、決定打を食らわせたのはケルディムだった。「成層圏の向こう側まで狙い打つ」と自称していたニールとは違い、ライルの狙撃の腕はそこまでではなかったはずだが、かれは一度しかない、失敗すればその瞬間にすべてが終わる賭けに勝った。爛々と鋭い眼光が見据えたものは、世界の歪みか、カタロンとしての仲間の敵か。ともかくとてつもないプレッシャーを背負っていたであろうかれの名を、銘々が口にした。「ライル」と呼んだフェルト、「ロックオン」と呼んだアレルヤ、そして「ロックオン・ストラトス」と叫んだティエリア。ライルに違和感を覚えていたティエリアがここで、かつてはニールのものであったコードネームでライルを呼んだのには驚いた。
「あの男はかれじゃない」と吐き捨てたティエリアを思うと少しさびしいような気もするが、同じように戦局を乗り越えて命を賭けている仲間を真っ向から否定するのもティエリアらしくないと言えばそうだ。

ともあれメメントモリは消滅?かな。リヴァイヴに続いてヒリングもダブルオーにしてやられたし、今のところはCBがそこそこに優勢を保っているが、セルゲイの上官らしき人物も現れたし、まだまだ波乱がありそう。一週休みになるので、どんなところで終わって生殺しされるのか戦々恐々としていたのだが、案外きりのいいところで終ったのでほっとした。

そして予告のあとに放送された四択クイズ。質問に対して正解だと思われるマイスターを一人選んで、そのひとだと思うところに電話をかけるというものなのだが、電話をしてみるとわざわざ録り下ろしたそれぞれのコメント電話につながるのだ。」
もはやクイズ云々の問題ではないので全部聞いたのだが、「セラヴィー、ティエリア・アーデ、電話に出ます!」に笑った。「万死に値する!」も聞ける。他のマイスターもそれぞれのキャラに沿った紹介をしてくれるので面白い。ちょっと嬉しいサービス。
web拍手
posted by: mngn1012 | 機動戦士ガンダム00 | 23:18 | - | - |

夏目イサク「タイトロープ」

夏目イサク「タイトロープ」
極道一家の一粒種で跡取り息子として育てられてきた龍之介は、家族ぐるみの付き合いをしている幼馴染みでカタギの直樹に惚れている。その家庭環境の所為でチンピラに喧嘩を売られ続けている龍之介はある日いきなり、跡を継ぐのを止めると言い出した。

なにこのむっちゃくちゃ面白いマンガ…!「どうしようもないけれど」も面白かったけれど、あまりに評判が良すぎてその勢いに飲まれていたのだが、これはもう諸手を挙げて面白いと高らかに叫びたい。面白いよ!関西弁もいい。

直樹に対する気持ちを自覚するのが早く、それを表に出すことに対してためらわなかった龍之介とは違って、直樹は友情以上の曖昧な関係に戸惑い、持て余している。感情は違えども相手を失いたくないという気持ちを持っていたふたりは、お互いの妥協点を探るようにして、キスだけは許す関係になった。それ以上でもそれ以下でもない、名前を付けられない関係は不安定で脆い。
しかし様々な外部からの攻撃によって追い詰められる中で、直樹は龍之介のこれまでに見たことのない面をいくつも知ることになる。自分を守るためには何でもする、自分を傷つけた相手には容赦なく攻撃する、そういう自分中心に回っている龍之介を少しずつ知って、次第に直樹の心は揺れ動いてゆく。

自分を家庭環境で判断せずに、普通に接してくれる直樹がいたから、優しい心や正しい強さを持ち続けることができたのだと龍之介は言う。そして直樹もまた、龍之介がいたからこそ自分が自分らしくあれたのだと、強く正しくいられたのだと思い知る。お互いがお互いのままでいるために、自分らしくいるためには必要不可欠な存在であるふたりの絆が確固たるものになってゆく。

自分が相手のことを好きなのだと自覚する瞬間。そして、相手が自分のことを本当に思ってくれているのだと理解する瞬間。ずっと流れている時間の中で、いきなりふと気づくその瞬間を描くのがとにかく上手い。それまでと何も変わらないのに、その瞬間から何もかもが変わってみえる。腐れ縁のような関係が、一気に恋人同士に変換されるお互いのターニングポイントが丁寧に描かれていて、やたらめったらキュンキュンする。ああかわいい。

実は龍之介よりも腕が立って、短気で口の悪い直樹は、一見とってもツンデレ調でちょっと天然。なので、書き下ろし「その後の龍之介妄想日記」においてかれが無意識に行ったとんでもない愛情表現を龍之介が指摘したとき、てっきり直樹は怒ったり殴ったりしてくるのだと思ったのだが、実際は全然違うものだった。なんだこの可愛さはどうしてくれよう!予想を裏切ってくれる、通り一遍でないリアクションがまた良い。

「どうしようもないけれど」の番外編も収録。一番ばれたくない相手に、心の準備が全くないまま関係を知られてしまったふたりの、パニックになりつつも腹をくくっている姿がいい。相手のことになると我を忘れる愛情と無意識の仲良しっぷりも微笑ましい。
web拍手
posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 19:58 | - | - |

よしながふみ「大奥」4

よしながふみ「大奥」4

よしながふみ「大奥」4
三代目家光の御世の続きから、四代目家綱、そして五代目綱吉まで。
家光のエピソードが長いうえにどれも印象的だったので、物語の入りを忘れていた。そうだ、この物語は吉宗の時代にもう一度行きつかねばならないのだった。思いがけないところでばっさり切って次の時代に切り替わる、その冷静すぎるほどに潔い判断はさすがだ。もう少し読みたいと思うところで切る、それが一番難しいけれど、きっと一番面白い。その判断をよしながふみは見誤らない。

家光と有功の関係は長く激動の時代の中で、変化し続ける。追い詰められて逃げ場のない立場の中で愛情を緩やかに育んできたふたりは、有功の肉体的な問題によって第三者の介入を余儀なくされる。愛しあうがゆえに戸惑っていたふたりは、それでも生きてゆかなくてはならない。自分のために、相手のために、何よりも争いのない平和な世のために。嫉妬の中でもふたりは腹をくくって前を見る決意をするけれど、結果的にはその強さが二人を引き裂いた。愛しているからこそもう男と女の関係を断ち切りたいと願う有功の願いを、家光は受け入れた。だからこそ有功だけが、いつまでも家光の中で特別な存在であり続けたというのは皮肉な話だ。
家光の死後、お夏の方は再度出家したけれど、有功は仏門に入ることをよしとしなかった。それは家光の遺言の所為だけでなく、無理矢理に還俗させられたのちに家光の苦悩を知ったかれが、苦界に堕ちてこそ救えるものがあるのだと実感したからでもあったと思う。家光との関係で得たものが、かれの中に遺っているのだ。

幸薄そうな容貌通りに、あまり幸福ではない生涯をすごした家綱のあとに現れた綱吉は、ものすごく女。将軍である前に、人間である前に女である、そういう人間がトップに立ってしまった。過去の事件を掘り起こして人を死罪にしたかと思えば、戯れに他人の男を奪う。そうして捨てて、後のことには興味を起こさない。一番将軍になってはいけないタイプの人間が将軍になった。しかも馬鹿ではないところがまた恐ろしい。
どんどん違うタイプの人間が出てくる。そのどれもが想像できるような気性だ。こういうひといるよね、と容易に思い浮かべることができるはっきりした人物像を、少ない描写とで表現しきる能力はとてつもない。「大奥」は読むたびに、最初から最後まで感心と興奮が途絶えない恐ろしい作品だ。

そして後半、おそらく今後の鍵を握りそうな右衛門佐が登場する。曲者の綱吉にまんまと条件を飲ませたかれの狙いは何なのか。そして馬鹿のふりもできる、頭のきれる綱吉が簡単にかれの願いを承諾したのはどうしてなのか。今後が気になってたまらない。

web拍手
posted by: mngn1012 | 本の感想 | 01:36 | - | - |

年内予定終了だったりする

セブンイレブンの平成仮面ライダーフェアのダブルストラップ、ひとまず電王を2個ゲット。
081227_124534.JPG
リプトンのリモーネとは違い、飲み物の選択肢がたくさんあるのがいい。中身も見えるし良心的だ。無駄がない!
友人に画像を送ったら、「なんか変なのついてる」と言われたが、この変なのが欲しいんだい。未契約モモタロスかわゆいなー。

来年のGフェスの日程が出た。もはやどの地方が一番倍率が低いか、ということだけがわたしの関心事である。行けるかな、行きたいな。

夜は高校時代の友人と飲み会。来年のうちにまた一回くらいは会おうね、と言ってお別れ。なんという気楽な付き合い。
web拍手
posted by: mngn1012 | 日常 | 22:27 | - | - |

神谷浩史・小野大輔「Dear Girl〜Stories〜響」

小野大輔 神谷浩史,神谷浩史,小野大輔
神谷浩史・小野大輔「Dear Girl〜Stories〜響」
お金をとるクリスマスプレゼントこと、DGSのCD第二弾。今回は二人をモデルにしたコミックスのドラマCD化。

・Dear Girl〜Stories〜響
声優として活動している裏で、乙女の悩みを解決する秘密結社の一員としての活動を続けているヒロCとオノD。ふたりが毎週放送しているラジオ番組には、普通のお便りに紛れて、乙女からの依頼も届けられている。今回の悩みは、自分を派手な見た目で判断せずに優しくしてくれた生徒会長に告白したいギャルの子からの依頼だった。

シルフに掲載された漫画版の第一話をかなり忠実に再現したドラマCD。
なので、猫と戯れるヒロCも忠実にかわいいわけです。オノDは序盤振り回されて絶叫、後半はいわゆる気持ち悪いキャラ炸裂と二度美味しい。
そして構成諏訪兼テライケメン司令官の遊佐さんの破壊力がすさまじい。諏訪さん本人が、ドS的な意味合いと電王人気に乗っかりたいという理由で遊佐さんにやってほしいと言っていたのが実現したわけだが、確かにハマり役。あまり出番は多くないけれど、悪役さながらの高笑いがすてき。

内容としては、漫画版が面白かったひとには特に不満のないつくりだったと思う。ストーリーもわかりやすいし、視覚的な面白さは当然ながら軽減しているけれど、ラジオリスナーがにやりとしてしまうような美味しい仕掛けが沢山登場するサービス精神の旺盛さにも感心する。
ただ個人的に、漫画がそれほど好きなタイプの話でもなかったので、ドラマCDとしても同じ感想。分かりにくいところや辻褄が合わないところがあるわけではないし、いわゆる「いい話」であることもわかるのだが、趣味じゃないのだ。もちろんそれはCDが出る前から分かっていたことなのだが。
でも気軽に聴ける楽しいお話であることは確か。

このヒロC・オノDに限らず、自分たちがモデルである自分たちの名前がついたキャラではあるけれど、飽くまでもカリカチュアライズされた架空のキャラクターであるので、それと中の人を完全なイコールで結ばないでほしいと神谷さんがあらゆるところで言っているけれど、ここまでやってしまうとなかなか難しそうだ。Dear Voiceもそういう傾向にあるし、ツンデレだのドSだのとカテゴライズされることを完全には払拭できないだろうなあ。
モモっとトークでの扱いがあんまりでちょっと気の毒だったのですが。

・KAMIYA HOUSE
神谷浩史生誕祭のときに、神谷宅(かみ☆すた)に武力介入が行われたときの様子をハウスサウンドにミックスした一曲。家のハウスと音楽のジャンルのハウスを引っかけたという、出オチ曲なのだが、このミックス具合は素晴らしい。小野さんの「メイドだニャンニャン!」が頭から離れない。永遠に聞いていられるバカらしさ。ステキ。

・エンドトーク
小野さんが最近になって脇汗パットを辞めたという話は友人に聞いたのだが、理由は知らなかったので、これで聞いて大笑いした。パットがパージしてお釈迦様になられたそうです。お腹が痛いくらい笑った。

前作のCDが、ラジオの細かい部分を取り上げて大きくしたつくりなのに対して、飽くまで今回はドラマCDなので、遊び心という意味ではどうしても弱くなる。しかし、このラジオの少しでも多く人を笑わせよう・楽しませようという根底にある意志を強く感じることができる一枚であることは確かだ。
web拍手
posted by: mngn1012 | 音源作品 | 15:08 | - | - |

神谷浩史・三木眞一郎「さらさら。」Special Free TalkCD

神谷浩史・三木眞一郎「さらさら。」Special Free TalkCD
ドラマCD「さらさら。」のAtis通販特典CD。
神谷さんと三木さんの20分強のフリートーク。

照映さんは慈英のおじさんじゃないよ、従兄だよ神谷さん…。
とにかく収録がスムーズだったという話では、実際にどれくらいの時間で録ったのかという数字が出ていたのだけれど、さすがに驚いた。崎谷さんが言っていた「ほぼ一発録り」は伊達じゃない、という感じ。

そしてまたもや過去のモノローグ配分の話題に。神谷さんは毎回のように「しなやか」の三木さんと後二作の自分を比べて凹んだという話をしているけれど、ナレーションだけ他の日に録ったという話も出た。その時に比べて、本当に今回の臣はすごかった。心底感動した。
あとはまたもや、とにかくファンからの要望が多かったという話。そこから自分たちのやっていることに対するリアクションの話題になったり。阿部さんの音作りの話もあった。
全体的に一本筋が通った、ぴしっとしたトークだった。いかにも「らしい」内容とでも言うか。ぐっだぐだのフリートークも大好きだが、こういうのもたまにはいい。
web拍手
posted by: mngn1012 | BLCD | 22:48 | - | - |

三木眞一郎・神谷浩史「さらさら。」(原作:崎谷はるひ)

三木眞一郎・神谷浩史「さらさら。」(原作:崎谷はるひ)<Atis公式ページ>
臣の駐在所勤務が終わり、慈英と臣は市内の家に戻ってきた。片付けが終わりひと息ついたところで、ふたりは七年前に長野に越してきた慈英の元を初めて臣が訪れた日のことを思い出していた。再会したふたりが、すれ違いながらも心を通わせるまでの物語。

原作は気持ち悪くなるくらいに既読、愛読。
同じくAtisで通販した「こどもの瞳」は指定日よりも一日早く来たので、これも早く来ないかと待ちわびていたのだが、ちゃんと指定日に来た。待ち遠しくておかしくなるかと思った。どんだけ好きなんだわたしは。

慈英×臣シリーズ、最新作。原作「さらさら。」は、七年前、最後の夜だと思った日から二週間ほど後、地元のスーパーで慈英と再会した臣が慈英の家を訪ねに行くところで終わる「しなやかな熱情」の直後から始まる物語だけれど、このCD「さらさら。」は三枚目の「あざやかな恋情」よりも数か月後から始まっている。「あざやか〜」では勤務中だった駐在所での臣の仕事が終わり、市内の家に戻ってきたふたりがカレーを食べながら思い出話をしているうちに過去の物語につながる、というもの。ちなみに今回初めて崎谷はるひ本人が脚本担当。
再会したあとの二人が、些細な誤解と思い込みから長い間両想いなのに確認できずに葛藤を繰り返していた日々が、CDではより細かく描かれている。原作にはなかった、当時臣が追いかけていた連続ひったくり事件のエピソードや、業界から干されているような状態だった慈英がエージェントを通じて仕事の依頼を得るようになっていく状況も追加されている。このあたりは原作者が脚本を担当している強みが全面に出ていると思う。
元々結構短い短編だったので、省かれた部分はそれほどなく、付け加えられた部分がかなり多い。エピソードはもちろんだけれど、心情的にもモノローグや台詞が増えたことで、二人の感情が余計にわかるようになっている。

とにかくいつものBGMだけでキュンキュンする自分がいる。
今回はモノローグを二人で担当。神谷さんのモノローグがかなりよくなっている。「あざやか〜」「ひめやか〜」のモノローグは全体的に地の文っぽいというか、ナレーションっぽくて感情が押し殺されているような印象があったのだが、今回は慈英の行動に戸惑っている臣の繊細な心情が全面に浮き出ている。すっごい、いい。
三木さんのモノローグは「しなやか〜」のとき既に異様なまでに凄かったので、そのあたりは相変わらず。モノローグと独り言と実際に声に出して誰かに言う台詞の演じ分けは見事だとしか言えない。原作を読んでいるからだと言われてしまえばそれまでなのだが、原作にない台詞でもはっきりと判別できる。
二人とも七年前と現在でトーンが違うのもすてき。

臣が慈英の元に落し物を届けに行ったとき、原作ではフェイドアウトしたのだが、CDでは臣が迫ったあたりでかれの携帯電話が鳴る。臣が仕事に引き戻されたことで、慈英は臣の吐いた言葉について追及することもできず、ふたりのすれ違いが始まってゆく。
仕事を言い訳に慈英を避ける臣と、東京と長野を行き来する慈英のスケジュールによってふたりはなかなか顔を合わせることもできない。葛藤しても、すぐに会って話したくても、仕事によってなかなか叶わない。その間にどんどん不安が高まって、憶病になる。このあたりのすれ違いに次ぐすれ違いが本当にもどかしい。

ひったくり事件においては、臣がきれいな顔を活かした事情聴取などもやっている。ハンサム刑事と言われている、という記述はどこかにあったけれど、実際にその行動が見られたので面白かった。しかし事件の被害にあってヒステリックに泣いている被害者の女性の声を聞いて「めんどくさそうですね」と心底だるそうに吐き捨てた臣はほもっぽくてよかった。(偏見ですか)
慈英の電話の着信音を分ける臣の健気なところも可愛い。仕事中に慈英のことを悶々を考えて苛立ったり、被疑者を逮捕するときに「つーか慈英のアホ!」と叫んだ臣は、七年前の短気でとんがっている時の臣だ。

慈英の仕事がとんとん拍子に決まっている、という話題で、まさかのベストセラー作家神堂風威の名前が出たのにも驚いた。崎谷はるひ著「きみと手をつないで」のキャラなのだが、こういうところも原作者脚本ならではのお遊びだなあ。
絵を見せるのは照映さんの薦めが根底にあったのだと判明して納得。

どんどん気まずくなってゆく二人は、休みの日に家に二人きりでいても会話がない。原作では慈英が絵ばかり描いている所為だという雰囲気だったけれど、臣にも原因があったのだと分かって、ここもまたおもしろいところ。臣がまともに会話できる状態じゃないくらい緊張してしまっているから、その重い空気をごまかすために慈英は絵を描く。そのうちに集中してしまい、更に会話がなくなってしまうという悪循環。臣視点のみだとどうしても臣が健気で可哀想で、慈英は何を考えているのかはっきりしない部分もあったのだけれど、両方の心情が明らかになると話が深まる。
そしてクライマックスの言い合いのシーンはとにかく凄い。既にふたりともとっくに限界が来ていて、そして一気に爆発する。自棄になった臣のはすっぱな物言いも良いし、それに激昂する慈英もまたすごい。怒鳴りつけられてまごついている臣が、最後ぶち切れるあたりはもう尋常じゃない。三度繰り返される「俺はちゃんと笑ってただろう…?」の緩急は、聞いてるこっちまで泣きそうだ。
慈英がクロッキーブックを見せたときに、戸惑いながらも慈英の自分に対する気持ちを知って「こんな風に俺のこと、見てるの?慈英」という臣の心の声が可愛くってじたばたしそうになった。「見てるの?」がびっくりした子供のようでとにかく可愛い。
そしてバターになってしまう臣さんの可愛さもすさまじい。両想いになってもまだまだ色々なことがぎこちなくて、慈英のリアクションにいちいち怯えたり、すぐに謝ったりするあたりが初々しい。慈英もすぐに謝ったり、かと思えば年下の男っぽく拗ねてみたりするし可愛いなー。

そしてラストは七年後に戻る。「あとはまっすぐ続いていく道を、手を離さずに歩いてゆくだけだ」というモノローグが何よりも雄弁にシリーズを物語っている。おおむね、めでたしめでたしなのだ。

キャストコメントは二人で四分。ここでも自分が2・3作目のモノローグを担当したことについて愚痴る神谷さん。「思ったよりいい感じじゃねえ、俺?」が生々しくてウケた。

このシリーズは原作もキャストも構成も、全部がわたしにとって最高に好みというなかなか稀有なシリーズなのだが、それが9枚ものCDになるなんてとっても幸せ。商業誌になっている分はこれでもう出尽くしたので(「夏の日のトルソー」は慈英しかいないのでまあ無理だろうし)、これで一端おしまいというところだけれど、まさに有終の美を飾った一枚だと思う。
作者はいずれ続きを出す予定だと言っていたので、それが出たらまたCD化を、ね!
web拍手
posted by: mngn1012 | BLCD | 12:48 | - | - |