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機動戦士ガンダム00 #09「拭えぬ過去」

ガラスをぶち破って飛び降りたティエリアがセラヴィーに乗るまでにどうやって着替えて髪型をオカッパに戻したのかとか、化粧してたんだよね?とか、素肌で硝子破って腕怪我はないの?とか、そういうことは言わないのがルールなのかしら。イノベイターだから大丈夫なのかな!

ミハエルを銃で撃ち殺したサーシェスが、かれの口癖を叫んだ。「行けよファング!」と。ああ残酷。
サーシェスは体の半分を失い、再生治療をしてここにいるようだ。ニールの仇と初めて対峙したティエリアは怒りが抑えられず、抑える気もなく、サーシェスに攻めてゆく。「貴様がロックオンの仇か」と叫ぶティエリアに対して、サーシェスが四年前に殺した男を嘲笑するような台詞を吐いた。右目が見えない癖に戦場に出てきた方が悪い、死んだのは自業自得だと。それはおそらく、ティエリアにとって一番の地雷だ。ニール・ディランディが右目を負傷したのはティエリアを庇ったからだ。そんな状況でもなお治療を拒んで戦に出たのには沢山の理由があるが、かれが口にしたのは「気にする奴がいる」からだった。ティエリアはその時、怪我をおして戦おうとするロックオンに向かって「あなたは愚かだ」と言ったが、サーシェスがかれをそう称することはなにより許せないのだ。
逃げるサーシェスを追おうとするセラヴィーを、アリオスが制止する。いつの間にか一番感情的なのはティエリアになっている。
セラヴィーの脚から手が出たのにびっくり。

トレミーに戻り、兄の事を知りたいライルがティエリアに詰め寄っている傍で、アレルヤとマリーは仲睦まじく微笑みあっている。付き合いたてだから周りの空気が読めていないのか…。しかしながらアレルヤはもはやCBが一番ではなくなってしまった人間なのだから、仕方がない。本当はそれが正しくて、普通で、幸せなことなんだと多分皆知っている。知っていても選べないけれど。

世界の変革より私怨を優先し、10年以上前の復讐を果たした兄について、ライルはやはりクールだ。尊敬しているという言葉に嘘はないだろうが、どこか距離がある。
終わってしまったこと、過ぎたことを悔やんでも仕方がないとかれは言う。幼い頃のことを悔恨する刹那に対しても、「そう言う流れは止められない」と返す。これが、同じ顔と声をした兄とかれが一番異なるところなんだろう。ニールも勿論CBの理念によって、平和な世界を創ろうとしていたけれど、結局かれは過去に囚われてしまった。過去から逃れられず、未来を見失って私情に生きた。そしてライルはそんな兄の死に様を知っても「過去じゃなく未来のために戦うんだ」と言う。このときティエリアがハッとした表情になっていたのが印象的。
そしてまたティエリアは揺れる。己の正義に殉ずることは、イノベイターに敵対するだ。それが正しいのかすら、今のかれには決められない。ヴェーダへのアクセスを断たれ、それまで信じていたものを同じように全肯定できなくなってから四年。もう四年だが、まだ四年だ。揺れて、悩んで、それでも答を自分で導くしかないのだ。

ミスター・ブシドーとビリーの対話がすごい。「グラハ…」ってもう言っちゃってるよカタギリ。しかしここへきて、ミスター・ブシドーがそう呼ばれることを「迷惑千万だ」と思っていることが明らかになった。嫌だったのか…カティまで呼んでたのに…。「私色に染め上げてほしい」とか相変わらずのボキャブラリー。対してビリーも「合点承知」って、素晴らしくいいコンビだ…ハァ。

ガデッサが格好良い。配色も好きだ。

悩んだり落ち込んだりすると大体窓から宇宙を眺めるティエリアさん。この人トレミーで自分の部屋にいる描写ってあったっけ…?リジェネと幻覚ロックオンの言葉でぐるぐる。

転がるハロがかわいそうでかわいい。

よ、予告にまたあの女が…。
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posted by: mngn1012 | 機動戦士ガンダム00 | 21:58 | - | - |

斑目ヒロ「かわいい悪魔」

斑目ヒロ「かわいい悪魔」
幼い頃から容姿を褒められることにコンプレックスを抱いている優等生の秋吉だけが、学校中でアイドル扱いされている美少年成瀬に関心を抱かなかった。しかし、秋吉は何故か成瀬に呼び出され、告白される。当然断ったところ、豹変した俺様成瀬に強引に押し倒される羽目に。

先生と生徒かと思ったら同級生だった。どちらにせよ優等生眼鏡ってファンタスティック。
基本的にはとってもラブコメ。可愛い容姿で大きな瞳に涙を浮かべて秋吉に告白してくる成瀬のブリブリっぷりはギャグだし、豹変してからのあまりの俺様暴君っぷりも、幾ら成瀬が可愛いからと言って、共学高校なのに成瀬の親衛隊のようなものまで作ってトイレにいくときさえかれを守ろうとしているクラスメイトも面白い。強面なのに実はとっても心優しい親友市川もいい。そんなドタバタコメディをひとり冷めた目で見つめ、混ざらずに平穏に生きていた秋吉が、いきなり渦中に引き込まれる。
かわいい顔をした悪魔・成瀬の思いっきり力強い腕によって。

勢いとテンションがとても気持ちいい。全てが成瀬の思い通りに進んでゆくので、秋吉の意志などというものはない。かれはただ抗えない力に振り回され、押し付けられ、責められ、守られ、とっても愛される。翻弄されつつも、満更でもないと感じ始める秋吉の微妙な変化と戸惑いが可愛くていい。

そして成瀬の変身。というか成長。
成長したあとも根本的には何ら変わらない成瀬を、そのまま受け止めたのは親友である寿史と、やはり秋吉だけだった。勿論かれは最初から成瀬の腹の中が真っ黒だということを知っていたからなのだが、秋吉が向けてくる対応の変わらなさに成瀬は安堵している。自分が可愛いことも、可愛い自分にどういう性格が望まれているかも全て知っていて、それをうまく使いこなしてひとを振り回す成瀬は、しかしどこかでそんな状況に不満を抱いていたのだ。なぜ成瀬が秋吉を選んだのか(目をつけたのか、とも言うが)がよく分かる展開だ。
そして成瀬が愛されているのは単に容姿が可愛いからだけでも、格好良いからだけでもないのだと秋吉は知る。おばあちゃんの作ってくれたものを後生大事にしている秋吉も、そういう秋吉の気持ちを笑わずに大切にしてくれる成瀬もいい。

可愛くてドタバタで、やっぱりでも最後にはちょっとときめき。これぞラブコメ。
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posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 12:43 | - | - |

ガタ

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超安かったショッキングピンクのロングカーディガン。フードがいかにも取り外せそうで取り外せない。最近鮮やかな色が好きで、しかもこれに緑を合わせたり青を合わせたりとなかなかの色キチっぷり。色キチのキチというのはつまり釣りキチのキチであり、トラキチのキチであり、現在公の場では使っちゃいけないあのワード。英語で言うとクレイジー。だからって色クレイジーってのはおかしな言い回しだし、じゃあ他の日本語で、つって釣り狂い。しっくりくる。トラ狂い、ああ納得。色狂い、…なんか意味が違う。色情狂みたいな意味合いになってくる。日本語むつかしい。
そんな感じで、自分では輝けないから鮮やかな色からパワーを貰ってるんだ、という某さんの気持ちがよく分かる今日この頃。

釣りキチ三平は三平ってついてるから良いんだ、という本仁さんの名言が忘れられない。

たんたんお奨めの、泡状のヘアカラーで髪を染めた。不器用なわたしでもムラなく染まるし、発色もいい感じ。これで680円は素晴らしい。髪が長いけど少ないので、1本で液が余った。
久々に自分で染めたんだが、この2年くらいの間にヘアカラーも進歩している。スゴイ。

パソコンがかなり重篤状態。ネットが出来ないというのは携帯電話でかなり補完できるのだが、ブログの更新が出来ないのが一番ストレスだ。まあこちらも携帯でそれなりに対処できるのだが、何が困るって携帯電話もかなり瀕死。こないだ機種変すべく店に行ったら、あと半月待てば今の機種にしてから2年を越えて安くなると言われたので待機中なのだ。あっちもこっちもガタがきているが、なんとかなる…かしら。

映画「20世紀少年 第2章」のポスターの荒木さんがすごい。超女装、超オカマ。もともと女顔だし色も白いので、原作のブリちゃんのような気持ち悪さが出ないのではないか、こぎれいな女装になってしまうのではないかと思っていたらちゃんと気持ち悪い。元のキャラが気持ち悪くて笑えて醜いけれどちょっと可愛い、そういうキャラなので、楽しみ。結局第1章は映画館で見なかったのだが、2章開始直前にDVDレンタルが始まるので、それを見て2章に備えよう。
というか何よりもポスターにいることに感動した!
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posted by: mngn1012 | 日常 | 08:33 | - | - |

アニメイトフェア「Libre×Animate with COSTUME-PLAY」

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アニメイトフェア「Libre×Animate with COSTUME-PLAY」
アニメイトでリブレの商品を3000円以上買うともらえる、28ページ小冊子。

基本的には一人一ページで、カラーイラスト再録のひとと書き下ろしのひと、その両方のひとがいる。何も下調べせずに行ったのだが、目当てのヤマシタさんが書き下ろしでよかった…!でも蓮川さんが恋愛操作じゃなくてちょっとしょんぼり。奥村さんにはそう簡単にお会いできないんですね…。

内容はコスプレというお題付き。イラスト再録に関しては趣旨に沿っていないものもあるが、基本的にはリブレで連載・発行された作品のキャラでコスプレネタ。イラストのひとやらきっちり漫画にしているひとやら。

ヤマシタさんはコミックス「タッチ・ミー・アゲイン」に収録された作品のキャラで漫画。同作が発売になった時に配布されていたペーパーと同じような感じ。相変わらずスピカ〜の彼はぶっ飛んでる。

大和さんは「教師も色々あるわけで」で相変わらずきっちりお笑い。一枚なのに可愛い子供たちも、萌えも笑いも詰まっていてすばらしい。

よっぽど好きな作家がいるか、欲しい本が3000円以上あれば手に入れたらいいと思います。何が何でも入手すべき、必見!という感じではない。
ちなみにわたしは前者なので後悔はない。

しかし買うつもりで目星をつけていた本がことごとく売切れていた。しかし代わりに普段あまり読まない本を買ったので新境地が開拓できたらいいな。
関係ないがアニメイトに藤子不二雄A氏の直筆イラスト入りサイン色紙があった。それはいいのだが「アニメート様」と書いてあって、妙に和んだ。こないだのSQ.の作者コメントもすごかった…。胸が高鳴る藤子世代のわたし。
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posted by: mngn1012 | その他やおい・BL関連 | 22:24 | - | - |

トップランナー ゲスト西原理恵子

西原理恵子が私生活をさらけ出した作品を発表し続けるので、わたしたちは西原作品を読み続ければ読み続けるほど、彼女の状況をよく知ることができる。まるで親戚や近所の人のように、そんなこともあったねえ、辛かったねえ、大変だったねえ、でも楽しかったよねえと分かち合うことが出来る。本人をサイバラと呼び捨て、彼女の夫を、親友の彼氏に対するような気楽さで「鴨ちゃん」と呼び、息子さんはもうこんなに大きくなったのね、時が経つのは早いねえ、などと感じられる。

西原理恵子は誰より冷静だ。悲惨なだけでは皆がチャンネルを変えてしまうことを彼女は知っている。客は「面白いか役に立たないと読まない」のだ。それは売れない=儲からないだけではなく、せっかくのメッセージが届かないことになる。見なくちゃいけない、目を逸らしてはいけないと感じることは多々あれど、やっぱり悲惨なものを直視するには勇気と気力がいる。プライベートの時間にわざわざ凹むのはつらい。だから見ない。見ないから、その中に込められたメッセージに気付けない。
伝わらないメッセージはメッセージではない。誰かが受け取って自分のものにすることで、メッセージは完成する。西原はいかに自分のメッセージを届けるか、そして受け取った人間がそれぞれの楽しみ方で楽しめるかという、なかなか両立しない二つのことがらをきちんと両立させた。

基本的にテレビや雑誌のインタビューで、西原は同じことを語っている。ワンパターンなのではなく、同じ質問が繰り返される以上は仕方がない。そして、どんな番組にも必ずいる、初めて彼女を知った人のためにもそれでいいのだと思う。
繰り返し言われることの中に「誰も悪くない」という言葉がある。「金がないだけ」なのだ。泣く暇もないくらいに忙しいのに金がない。金がないからみんなが苦しい。傷つける方も傷つけられる方も苦しくて、辛くて、悲しい。
そのときは子供だったから思い付かなかった言葉を、過去の傷ついていた人にかけてあげるつもりで「ぼくんち」は描かれた。辛かった過去の補完は、現在辛い状況にあるひとを救った。

鴨ちゃんの話はやっぱり泣ける。実際依存症を克服して帰ってきた時のエピソードがよかった。唇を震わせる西原の姿もすごく好きだ。
遺した詩がまたすごい。なぜカメラを持って危険な土地に行くのか、なぜ悲惨な状況を撮り続けるのか、そういう気持ちで撮り続けたのか、生きていたのかが分かる。ああ泣ける。

質問に対する答えがまたいい。親が喧嘩してるくらいなら、両親がにこにこして朝から店屋物の方がいいよ、と言うのは至極名言だ。どこで手を抜いて、どこに力を注ぐべきなのか、そういうことの答えを持っている人だ。
タイの話も泣けた。文字さえ書けたらなんとかなるんじゃないか、という考えが「うつくしいのはら」に辿り着いたのだろう。これは本当に読まれるべき本だと思う。「営業ものがたり」に入ってますよ皆さん!

とにかく西原理恵子はわたしの涙腺をもっとも揺さぶり、何が正しいのかを教えてくれる大好きな人だと再認識できた。
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posted by: mngn1012 | 映像作品 | 16:22 | - | - |

水城せとな「黒薔薇アリス」1


水城せとな「黒薔薇アリス」1


水城せとな「黒薔薇アリス」1
1908年ウィーン。才能あるテノール歌手ディミトリは、親友でかれの養父である貴族の息子テオドールから婚約者のアニエスカとひと晩をともにしたと聞いたショックで飛び出した道で事故にあい、一命を取りとめた。しかし意識を回復したかれの首筋には謎の痣が消えず、周囲の人間が次々と自殺してゆく事態になった。そんな時にマクシミリアンと名乗る男が現れ、ディミトリにヴァンパイアになったのだと告げる。

100年前のウィーンに住む貴族たちの荘厳な雰囲気や服装、華やかな音楽の世界、美しい薔薇と虫、好きなものをここぞとばかりに詰め込んだような世界観がステキ。相変わらず絵もいい。男も女もいいんだけれど、今回はとにかく建物が超好みだ。胸が高鳴るヨーロッパ!絵が上手いことが災いして虫はちょっとキモチワルイが、禍々しい感じはとても出ている。

才能があって若く美しいディミトリは華やかな世界に身を置くけれど、かれが欲しいものは手に入らない。天使のようなアニエスカは親友の婚約者で、その親友テオドールはとても気のいいやつだけれども貴族だ。二人とロマ出身(≒ジプシー)のディミトリとの間には確固たる身分の差があるので、いくらアニエスカがディミトリを熱っぽい眼で見ていたとしても、彼女はディミトリのものにならない。そのことからくるかれの屈折は、どんなに親友が優しくても、自分が評価されても拭い去れない。
そして、手に入れられるはずのない力を手にしたことで、ディミトリの秘めた感情が暴走する。アニエスカを抱いて死のうと思いつめたかれは何を思ったのか、テオドールに対してかれの婚約者を抱かせろと言う。黙って忍び込むことくらい出来ただろうに、自分の全てに絶望していたかれは、真っ向をきって宣言する。そのことでテオドールが普段決しておくびにも出さなかった気持ちを聞いてしまい、衝動的にディミトリはかれに命令した。テオドールが心からそんなことを思っていたわけではないことくらい、これまでかれに何度となく救われてきたディミトリには分かっていたはずなのに抑えられなかった。更に本来抱きたかったわけでもなかったアニエスカを汚い言葉で罵って傷つけ、彼女さえも失った。
テオドールはディミトリのアニエスカへの思慕も、アニエスカのディミトリへの憧れめいた恋心も知っていて、その両方を断ちきるために彼女を抱き、それを茶化してディミトリに伝えたのだろう。残酷は振る舞いはどうしようもないかれの優しさでもあったのだろう。
しかしもう全ては戻らない。ディミトリの絶望の深さがいい。

時代は現代日本へ。愛する男のために自分を差し出した梓はディミトリの元で何をさせられることになるのか、眠ったままのアニエスカはどうなるのか、何よりタイトルのアリスがいつ登場するのか、謎は多い。水城さんは伏線をきっちり回収してくれるひとなので素直に終わりまで楽しみにできる。
マクシミリアンはどこへ行ったのかしら。
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posted by: mngn1012 | 本の感想 | 20:36 | - | - |

神谷浩史&成田剣「こどもの瞳」Special Free TalkCD

神谷浩史&成田剣「こどもの瞳」Special Free TalkCD
ドラマCD「こどもの瞳」のAtis通販特典CD。
神谷さんと成田さんの18分強のフリートーク。

実際トークのお題やテーマがあったのかなかったのかは定かではないけれど、本当にフリートークだった。雑談というか他愛もない話をのんびり交わしているCD。とりあえず二人とも最初っからぐったりしていて、ローテンションでの会話。程よい疲労感があるので別にだらけているわけではないのだが、ゆるゆるトーク。

仁の設定にかけて六歳の時の話がメイン。
ノートにひたすら下水の絵?を描いて心配されていた神谷さんと、スカートめくりに興じていた成田さんの話。成田さんが自己完結してしまうのが面白かった。フリーダム。親戚の子供の話をするときに「なんとかレンジャーへんちん!」と神谷さんが言ったのは敢えてなのか噛んだのか分からないが、可愛かったのでよしとしよう…。まさか親戚のおじさんがまさか実際に変身したとは知らないんだろうなあ、その親戚たちは。しかも悪者。

あとは何故か理想のマイホームの話から、仕事で貰ったBL作品をどういう風に収納しているのかという話に。犯罪をおかして捕まったら(=家宅捜査されたら)大変だね、どういう風に片付けたらいいんだろう、という話が面白かった。それはいいのだが、最後まで犯罪をおかさなければいいという答えに辿り着かなかったあたり、本当に二人とも疲れていたのだと思う。成田さんは以前自分の出演したBLCDの完パケを貰っても聞きなおさないとBL裏話で話していたけれど、ここでは老後の楽しみにすると言っていた。楽しそうです。
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posted by: mngn1012 | BLCD | 13:42 | - | - |

成田剣・神谷浩史・吉野裕行「こどもの瞳」(原作:木原音瀬)

成田剣・神谷浩史・吉野裕行「こどもの瞳」(原作:木原音瀬)<Atis公式ページ>
妻を病死で亡くし、息子と貧しいながらも幸せに暮らしている岬の前に、かれの兄が事故によって子供に後退したという知らせが入った。幼い頃に別れた兄とは数年前、妻の手術費を巡って揉めて以来絶縁したものと思っていた岬だったが、会社から押し付けられるようにして引き取った兄と息子との共同生活が始まってしまう。

原作既読。
CD一枚なので当然ながら原作はかなり割愛されている。ただ省かれたのは殆どが岬の職場でのおやっさんと松井との会話部分なので、岬と仁、城太郎のやりとりはそれほど減っていない。一枚にしてはいい感じの濃度で構成されていたんじゃないかな。

18歳で結婚して子供が生まれ、そして妻を亡くした自動車修理工場で働く岬に神谷さん。荒っぽくて粗雑な口調で怒りっぽく、ヤンチャだった昔が拭えないけれど息子への愛情に溢れているヤンパパ感が出ている。「いいぜ」が妙にツボった。とりあえず神谷浩史が演じる口の悪いキャラが好きなので終始幸せ。
大会社の社長でありながら事故によって六歳のこどもにかえってしまった岬の兄・仁に成田さん。とりあえず凄かった。凄いとしか言いようがない。仁が出ている殆どのシーンは六歳児なのだが、単に六歳のこどもではなく、図体のでかい大人がこどもになってしまった雰囲気が存分に出ている。前半の仁は状況に戸惑ったり岬のこころない言葉によって泣いているのだが、泣き声が本当にこどものそれだ。こどもがあまり得意ではない気持ちが揺さぶられるくらいに、思いっきりこどもの泣き声。火がついたように泣いて、かえって相手を苛立たせるくらいに泣く泣く。そして三十歳のシーンでは冷酷で、どこかひとの気持ちに疎い面が出ている。豹変っぷりがいい。
岬の息子・城太郎六歳に吉野さん。可愛くて眩暈がした。大抵子供役というのはキャラの男女問わずに女性が演じていると思うのだが、ここで吉野さんをキャスティングした人は素晴らしいと思った。もう超かわいい!かわいいとしかいいようがない!城太郎は他の六歳児よりは苦労もしている分大人で、諦めることを知っていて、父親を困らせるだけだからあまり我儘も言わない子供だ。だけど子供なのでふざけたりばかなことをやってみたりもする。そういう屈託のなさと、後半恋をしてぐるぐるする岬よりも冷静なことを言う落ち着いた部分のギャップがいい。あと「うるさいやい!」がクリティカルヒット。この息子が一番マトモだと思う。

発売が決定してキャストが出た瞬間に買うことは決定していたし、発売日前から届くのを楽しみに待っていたのだが、いざCDを開くとちょっと躊躇してしまった。話を知っている分聞くのに結構覚悟がいるというか、聞き始めてからも相当ふんばらないと途中で負けそうになる。別に地雷設定でもないのだが(というか正直わたしに地雷なんてないんだぜ!)、とってもマニアックなものを聞いているのだという自覚が芽生える。
前半は特にその傾向が顕著で、やすやすと萌えることを許さない設定と演技だった。気軽に世界に入り込めない雰囲気は原作が持っているものとよく似ている。

容姿は兄、中身は息子と同い年の子供。そういう男に対して、ヘテロの男がどうやったら恋愛感情を抱けるのか。その理由にはまず、岬が自分に対してすら隠していた慢性的な寂しさが、鬱陶しいほどにまとわりついてくる仁によって解消されていたことがある。そして、何度も繰り返し好きだと言ってくること。それによって岬の心は揺さぶられ、いつの間にか自分も仁を好きになっていた。その辺りの過程が原作を編集した脚本ではとても分かりやすくなり、神谷さんのモノローグも切なくて更に話が広がっていた。岬は仁に甘えられることに喜びを感じ始め、甘やかすことで自分が依存している。中盤にいくに連れて関係を楽しみだした岬が仁に発する優しい声音がとても好きだ。買い物に行った仁を迎えに行ったシーンの岬の甘さがいい。口が悪いからこそ、甘いことを言うとそのギャップが大きく感じられるので照れる。

一番好きなシーンは大人ごっこのくだり。城太郎と仁が結託して、仁に大人の声音を出させて岬を驚かせる。その遊びをかれらは大人ごっこと呼んだ。何も聞かされていなかった岬は兄の記憶が戻ったのかと驚くけれど、直後に噴き出す二人の六歳児によってそれが杞憂だと知り、一緒に笑う。「変ないたずらすんじゃねーよ」と含み笑いで咎める岬と、いたずらが成功して喜ぶ城太郎と仁のやりとりがとてもかわいい。金もなく、今後どうなるのかも全く分からない状況なのに、三人が一番幸せだったシーンだ。歪で誰にも認めてもらえないであろう家族の姿が眩しい。

最初に読んだときはこの作品が近親相姦モノだということになかなか気付かなかった。それ以前の問題が沢山ありすぎたからなのだが、いざ音声で聞くと「お兄ちゃん」というフレーズの殺傷能力はかなり高い。不謹慎ながらも、寧ろ不謹慎だからこそ萌えた。
お兄ちゃんと言わせたがる仁はどっからどう見ても変態だと思います。

気軽にながら聞き出来るタイプのCDではないけれど秀作。
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posted by: mngn1012 | BLCD | 00:26 | - | - |

西炯子「ひらひらひゅーん」2

西炯子「ひらひらひゅーん」2
相変わらずな開開高の弓道部の面々のそれぞれの物語。真剣だったりふざけていたり、現在も回想される過去もどこかのんびりしているかれらの日常が面白い。

特にマイペースな副部長の笹原と、旅の一座の長男で一時的に転校してきた女形の藤川の物語がよかった。
とにかく感じが悪く、誰かと仲良くする気が毛頭ないことを感じさせる藤川だったが、笹原はかれの左手に弓道をやっている人間特有のタコを見つける。そのタコがまだ新しいものであることから、笹原はかれを道場へと誘った。その理由を藤川は、弱小部が猫の手でも借りたかったのだろうと勘繰るけれど、笹原は微塵も損得感情を持っていなかった。純粋すぎる眼で「時間みて一本でも二本でも引いたらと思って」とかれは理由を話した。ただ弓をやっている人間を見つけて、それならやってみればいいと招待しただけだった。その真っ直ぐさや穏やかさは、とにかく周囲に牙を向けていた藤川の尖った気持ちを凪いでくれる。

近寄ってきゃあきゃあ言ってくる女の子にはそれなりに距離をとって優しくし、それ以外の人間には無関心の藤川だったが、笹原には興味を示す。他の男子とは異なり、取り立てて藤川に悪いイメージを持っていない笹原に対して、かれは心を開いてゆく。
そんな藤川は「俺は自分が風だと思うよ」と笹原に告げた。どこかに留まりたいといくら願っても、それは無駄なことなのだとかれは知っている。半永久的に同じ土地に住んで、慣れ親しんだ友人と部活動をしたり遊んだりする、そういう願いは叶わない。自分はひととき立ち寄ってその場をかき乱して、そしていつしか「忘れてしまう」存在なのだと、藤川はおそらくこれまでの経験で知っている。知っていながら、いつも初対面の人間を相手にかれは舞台に立つ。勝つしかない戦いに挑み続けるかれは、競技の勝ち負けにすら拘らない呑気な開開高弓道部をたきつけた。

ベストを尽くした笹原に対して藤川は「次は勝てばいいんだよ」と言う。その次、にはもはや自分は遠くにいるのだと、どこにいるのかは検討もつかない上でかれはそう言う。その言葉に笹原はもう返事をせず、ただ藤川の手をとった。もうすぐ自分の前を通り過ぎてしまう風を少しでも繋ぎとめるように、一瞬でもなにか残せるように、「忘れない」という意志を込めて手を握った。

他校生に茶化されていたように、かれらの仲を恋愛感情という言葉でくくることも不可能ではないけれど、どちらかと言うとお互いが曖昧な感情を自覚せずに抱いているように見える。友情と言うには近過ぎて、愛情というには遠い、携帯のメールで景色の画像を送って微笑む、そういう距離感がたまらなくいい。すてきな心の触れ合い、そしてすてきなやおい。

智和と笹原の幼い頃を描いた短編も可愛らしくていい。やっぱりこの頃から笹原は笹原で、智和は智和以外の何者でもなくて、二人はいつまでも仲良しなのだ。バカでかわいい男の子と女の子たちの、平穏な日常と、その日々を噴きぬけた一迅の風。アンバランスでコミカルなのにどこか優しい雰囲気が漂っている。
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posted by: mngn1012 | 本の感想 | 23:03 | - | - |

椎名軽穂「君に届け」 8

椎名軽穂「君に届け」 8
容姿が良くて優しくて真っ直ぐでスポーツが出来て努力もしていて、クラスの人気者だけどそれを鼻にかけない、そういう男の子が実際問題どのくらい実在しているのかは別として、一時期の少女漫画では吐いて捨てるほどに存在した。しかし現在は余りに出来すぎた設定が浮世離れしているからなのか、徐々に過去のものへと移行しつつある。長所だらけの男なんてひと昔前のヒーローになっている。
この作品のヒーローである風早は、そういうひと昔前の男の子だ。この純情過ぎるほどの話の展開自体がひと昔前の作りだと言われてしまえばそれまでなのだが、ともかく「君に届け」というのは王道を敢えて踏襲し続けることを躊躇ったり恥じたりしない作品だ。

そんな中この巻では、風早の葛藤が描かれる。新しく現れた健斗の言葉によって風早は、悪気なく行ってきたこれまでの振る舞いや、何も考えずに取ってきた行動を振り返って考えさせられる。そして、これまでは疑うこともなかった爽子との距離が案外遠いのではないかと考え始める。風早の不安や焦りが、かれが単なる聖人君子ではないことを印象付ける。その魅力を知られないがために皆に怯えられ避けられている爽子の長所を他の人間が知ればいいと思っていたのに、知れ渡ると独占欲が頭を擡げて苛立つ、自分以外のひとの輪の中で楽しそうに笑う爽子の幸せを単純に喜んでやれない、そういう普通の高校生男子らしさがようやく出てきた。
真っ直ぐすぎるところが風早の長所であり短所だ。友人の忠告を聞き入れないかれは、爽子に対してこれまでのように上手く対応できなくなる。それに敏感に反応して距離を取るしかできない爽子。とっくに両思いなのに上手くいかないのは、二人にまだ勇気がないからだ。自分が相手の一番であるという自信は皆無で、当たって砕けるほどの強さもない。あああじれったいもどかしい胸キュン!

双方の気持ちにとっくに気付いている爽子の友人たちは、それでも二人に告げようとはしない。おそらく信じないであろう爽子が、風早に付き合って「貰っている」んだと誤解しながら一緒にいても無意味だと彼女たちは知っている。自分で勇気を出して告白しないことには、何も変わらないと分かっているから敢えて口にしない。お節介な二人が自分を抑えて、爽子の成長を見守っている。友情も恋愛もあたたかい。

そしてどんなにクラスで人気者になっても、爽子の貞子列伝は相変わらず。薬草に怪しげな看板を建てたり、後輩の間でまことしやかにとんでもない噂が流れていたり。その辺りのコメディっぷりもいつもながら秀逸。
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posted by: mngn1012 | 本の感想 | 23:55 | - | - |