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峰倉かずや「最遊記RELOAD」9

峰倉かずや「最遊記RELOAD」9
過去にヘイゼルの胸中を掻き乱し、三人と別行動中の三蔵を笑顔で苦しめ続ける烏哭三蔵がまたもや登場。
世話になったひとの役に立ちたいからと、身の丈に合わない速度で成長したいと願うヘイゼルの願いに烏哭は付け込もうとする。すぐ先にある美しい生や、永遠に続けられてゆく命のサイクルを見ぬふりでやり過ごし、その先にある死を提示してくる。不安を煽り、相手の心の脆い部分に入り込んで内側から崩す。最初の綻びを作ってしまえば、あとは勝手に疵が広がっていく。年端もいかないヘイゼルを混乱させる烏哭の様子は、牛魔王の蘇生実験によって世界を混沌に追いやろうとしている現在と何ら変わっておらず、ちっとも楽しくなさそうに見える。それはかれが唯一のもの、大切なもの、フィルバートが言う「神様」を失ったからなのかもしれない。
今よりもほんの僅かだけ、過去の烏哭は素直に見える。

そして三蔵の元に烏哭がやってくる。暴力と言葉に両方で三蔵をひたすらに傷つけて、それでも烏哭はやはり楽しくなさそうだ。無理矢理楽しもうとして、うまくいかずに苛立っているような表情だ。どんなに惨めな状況になっても、最終的には前を向いている三蔵を次から次へと追い込んでいく。
傷つけられて立つことすらままならない三蔵は、それでも瞳を曇らせない。三蔵一行は皆そうだけれど、どんなに死に掛けていても、かれらは笑って前を見ている。愚かで危険な行為だけれど、かれらはどの瞬間にもその心に誇りを宿している。決して折れない信念よりも、何度も粉々になってその度に繋ぎ合わせて修復された信念のほうが強い。四人は何度も絶望して、死の直前まで行って、そこから這い上がってきた。仲間に助けられながら、時には罵倒されながら、「みっともないトコ」を見せ合うことでその信念と絆を堅いものにしてきた。甘すぎず、辛すぎず、ちょうど良い関係性で成り立っている。止まったら死ぬマグロのように、ただひたすらに前を向いて走り続ける。

烏哭が三蔵に語った自己確認の話が面白かった。自己を確認するのは自覚と他者。会わずに終わる他者は存在しなかったことと同意義。皆に忘れられてしまったら、それは自分が最初からいなかったこととなる。存在ごと否定しかねない無天経文。恐ろしい。

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posted by: mngn1012 | 本の感想 | 23:55 | - | - |

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