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中村春菊「世界一初恋〜小野寺律の場合〜」

中村春菊「世界一初恋〜小野寺律の場合〜」
どんなに頑張って結果を出しても七光り扱いされるのが嫌で父の経営する出版社を辞め、丸川書店に転職した小野寺律は、希望だった文芸書ではなく少女漫画の編集部に配属される。少女漫画など読んだこともない律は抵抗するが、口は悪いが仕事を心から愛している編集長の高野の姿勢を見て態度を改め始める。しかし、高野が実は学生時代にこっぴどく別れた元彼だと判明、しかも実は一年前からマンションのお隣さんだったと分かる。

とりあえずタイトルセンスが凄いと改めて思った。世界一初恋。ありがちな単語をくっつけただけのストレートな言葉だからこそ、真っ直ぐ胸にくる。そして中身を思わず想像してみたくなる、そんな胸高鳴るワード、世界一初恋。
そして帯がCLAMP、さすがだぜ…!

慣れない職場でなかなかやりがいを感じられずにいた律が、徐々に仕事の面白さに目覚め、私生活をかなぐり捨てて没頭する。BL版「働きマン」とでも言うべきエメラルド編集部のみなさんのお仕事っぷりが、生きるか死ぬかの瀬戸際で踏ん張っているようで面白い。
そして編集サイドからの事情だけではなく、漫画家サイドの心情も伺える。当然ながら色々なタイプの作家がいるので、罵倒されて踏ん張れるひと、優しく慰められて立ち直れるひと、励ますコツもさまざまだ。ヒステリー状態の作家に正論を投げて言いくるめる高野の言い分は真っ当すぎるくらい真っ当で、かれ自身が自分の仕事を全力でこなしているからこその裏づけがあるので非常に気持ちいい。
そんな高野の仕事っぷりに尊敬の念を抱く律もまた、ばかがつくほど正直に真剣に、真っ当に仕事をする。お互いの真摯さにうたれて惹かれれば惹かれるほど、もう一度やり直したいと思う高野と、辛かった過去を思い出して及び腰になる律。言い分が異なるふたりの誤解が果たしてどう溶けるのか、言葉の足りない高野と、自分の気持ちに向き合えない律の温度差がもどかしい。
片方が相手のことをとてつもなく好きで、もう片方がそれに徐々にほだされて気付いたら気持ちが対等になっている(もしくは追い越している)というパターンを書かせると、中村春菊は上手い。愛情表現が不得手で独りよがりになりがちな男と、それに翻弄されることが嫌じゃない男。今はまだ高野の勢いに押されて抵抗している律が、対等の気持ちを再燃させる日が楽しみだ。恋に堕ちるまでの日数がカウントダウン表示されているのも面白い。
傍から見ればどう考えてもとっくに恋に堕ちている律だからこそ、どういう決着がつくのか楽しみ。宇佐見大てんてーのお名前もチラホラ。
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posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 22:01 | - | - |

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