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ヤマシタトモコ「タッチ・ミー・アゲイン」

ヤマシタトモコ「タッチ・ミー・アゲイン」
ああもう好き!雑誌の表紙に名前があったら取り敢えず問答無用で手にとり、コミックスが出ると知っては大喜びし、いざ発売数日前になるとわくわくしている程度にはファンです。
タイトル作「タッチ・ミー・アゲイン」は中編。お互いの気持ちを薄々知っていながら二の足を踏んでしまう友人同士の話。乙女だったり投げやりになったり、じれったくていい。このひとの凄いところは詩人のようなのに古臭くなくて、オシャレなかんじなのに普遍的なモノローグと、一般から少しだけズレた、それなのにリアルなキャラ設定だ。誰にでもあるどうでもいい日常は少し行動すればありえないくらいドラマティックだし、そんなドラマティックな非現実の続きはいつもの朝だ。そういうありふれたものを描くのが上手い。分かりやすい言葉があるわけではない、昨日と今日が全く違うものであるわけでもない、しかし最後のコマで、いつもむすっとした顔の遠田が馬鹿みたいに笑っている。これだけで、二人の関係の変化と、お互いがどれだけ苦しんでいたか、そしてそれがいかに昇華されたのかがわかる。
続く中編「息をとめて、」は愛されていることを知っていながら受け流して、現状を維持しようとするずるい大人の話。ちょっと明楽っぽくもあるけれど、あっちがバカだったのに対してこっちはそこそこ頭が働くのでもっと質が悪い。もどかしくて残酷。人間は、そのひとが誠実だから真面目だから好きになるとは限らない。不誠実だから、いい加減だから嫌いになるとも限らない。真摯な芥とド変態な芥と、オタク丸出しの眼鏡でやってくる芥のギャップがいい。
あとは短編と、それぞれの話にまつわる書き下ろし(1〜3ページ)。檸檬の話は本誌で見たときから可愛くてツボだったのだが、書き下ろしを見て更にギャップに笑った。オカマ攻がもっと普及するといいよ…。
どの短編もいいのだが、「スターズ☆スピカ☆スペクトル」は「フォギー・シーン」と並ぶ傑作だと思う。死者を星に喩える、というのは今までに、それこそ星の数ほど行われてきたと思うけれど、それでも凄いものは凄い。ネタバレにしかならないので書かないけれど、いやもうほんとうにすごいの。わたしは長編が好きだけれど、本人はインタビューで短編が一番楽だと言っていた。その意味がちょっと分かるような気がした。この殺傷能力の高さといったら!
そんなこんなでヤマシタトモコがすきだ、というはなし。
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posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 16:01 | - | - |

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