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「私のダーリン」@シアタークリエ

作・演出・振付:玉野和紀
音楽・歌唱指導:NASA

黒木瞳
玉野和紀
石川禅
坂元健児
愛音羽麗
町田慎悟
古川雄大
村井良太
大河元気
愛花実花

出会ってもうすぐ10年になる夢子と虎衛門夫妻は、ちょうど10年目になる日、両隣に暮らす人々を招いてのパーティを計画している。
奇妙な出会いから付き合って結婚し、引っ越してきたこの家でご近所さんと仲良く過ごす日々を思い返す夢子。そして10年目のパーティの朝が来る。

二幕で二時間半くらいのミュージカル。
ネタバレを避けるあまり、HPのあらすじなどもちゃんと読まずに舞台を見ることが多い。そのため、この話も黒木瞳がいろんな男にちやほやされる乙女ゲのような話だと勝手に思っていた…全然そんな話じゃないよ!
明らかに不慣れな占い師の夢子は、偶然通りがかった男に声をかけ、なんとか占いをしようとする。煩わしそうに応対する男だったが、二人で揉み合って池に落ちたことが原因で、二人は付き合い始める。
取り敢えず黒木瞳のかわいさがすごかった…。顔小さい!足細い!顔が可愛い!あれやこれやそれを(お察しください)帳消しにする、とは言わないが、補えるくらいの可愛さ。素材の良さに維持するための努力が加わっているのだろう。歌も芝居も気にならない!!
こともないけど。

二人が池に落ちると舞台中央くらいにある幕が閉まり、鯉の着ぐるみを来た男女が現れる。この瞬間、この舞台を見に来たのは失敗だったかもしれない、と思った。最終的にはその気持ちは払拭されたのだが、とにかく徹頭徹尾曲が冴えない。ふた昔前くらいの曲に何とも言えない歌詞が乗っていて、歌のたびにトホホな気分になった。
ちなみに鯉の男性は古川町田村井大河の四人です…かれらをクリエで見ることになるとは。しかも鯉。

その後夢子は従業員三名の便利屋会社の社長になり、夫の虎衛門(PN)はなんとか細々と小説家を続けている。数年前に引っ越した家の隣に暮らす人見知りの獣医や、反対側の隣に暮らすヤクザの娘とチンピラの仲良し夫妻との関係も良好だ。
ご近所さんとの過去のエピソードも振り返って語られる。無理やりお見合いさせられることになった獣医と夢子の笑い話、隣の夫妻が父親に引き裂かれそうになった関係を夢子が取り持った話。夢子の明るさや行動力に、皆が救われている。
この気の弱い獣医が禅さん。白衣を着ておどおどし、人間より動物のほうが付き合いやすいであろう姿がかわいらしい。ちょっと夢子に気があるというか、ほのかな好意を抱いていそうでもある。ちなみにヤンキー夫妻の妻の父、ヤクザの組長も禅さん。牛柄のスーツ。
更に便利屋のスタッフが古川村井大河の三人。夢子の指示のもと色々なことをこなすかれらは、遊園地のアトラクションのためにショッカーに紛したり、ホストクラブの応援スタッフになったりと大忙しだ。 「どうして僕たちがショッカーなんですか!」「むしろどっちかと言えば、こっちです!」で特撮のポーズを決める古川&村井、という中の人ネタもあり。更には待機中の三人に向かって虎衛門が「みな同じテニスサークルの出身だったんだって?」と無茶振りして、三人がテニミュの持ち役の得意技でエアテニスラリーをしていた。不二先輩がトリプルカウンター大放出でした。

そしてパーティを翌日に迎えた夜。夢子と虎衛門は言い争いになる。内容は、夢子がアイディアを出して虎衛門がついに書きあげた小説「夢子の秘密」についてだ。自分たちや隣人たちを元にしたキャラクターが登場し、実際に起こった出来事をヒントにした物語だというそれを、今になって夢子はなかったことにしたいと言うのだ。しかし当然虎衛門は聞き入れない。物別れに終わった口論のあと、虎衛門は散歩に出る。

翌朝。パーティの用意をして真っ赤なドレスに着替えた夢子は、いつものように虎衛門を起こす。次第に集まってくる隣人や従業員、虎衛門の担当編集。隣人たちがおかしな表情をしているのに気付かないまま、幸せの絶頂にいる桃子。
獣医のカメラで記念写真が撮られ、ようやく桃子はそこに虎衛門がいないことを確認する。かれは昨夜、亡くなったのだ。
おもむろに立ち上がった夢子はポケットからタブレットを出して口に入れ、「今、行くわ」と虎衛門に語りかけ、乾杯用の酒で流し込む。
ここで一幕終了。これはさすがにびっくりした。虎衛門と桃子の日課で、朝なかなか起きない虎衛門に対して桃子が、かれが死んでしまったような芝居をする、というものがある。「ひどい」「置いていかないで」とベッド突っ伏して泣いたふりをすると、むくりと虎衛門が起きるのだ。それがある意味伏線だったのかな。すごくいいヒキで休憩に突入することになる。

二幕は打って変わって、「LOVE FATE」という看板が吊るされた派手なキャバレーのような舞台。そこの三人の女性に、男たちがプレゼントを持って現れ求婚するという物語。二人の男に口説かれた女性は両方と付き合うことを決め、三人から告白された女性は店のスタッフを選び、最後に残った女性は宝石を持参した貴族を拒んで貧しい青年を選んだ。この最後の女性が黒木瞳で、青年が玉野和紀。夢子と虎衛門ではなく、他の人物である。
いきなり何の話かと思えば、この舞台の登場人物が脚本に沿って行動しているのだと言う。天から下ってきた脚本はかれらにとって絶対であり、変更できないのだ。そのことに不満を持ちつつも、脚本通り進めていく女性。しかし彼女の不満は募り、脚本を変更させたいと考えるようになる。そこで彼女は、脚本を書いたペンでなくては脚本を書き変えられないと知り、白いタブレットを飲んで夢子や虎衛門がいる世界へ行く。
宝石を持ってきたのに振られた伯爵が禅さん。高慢な伯爵を演じるかれは、脚本に疑問を抱く夢子に対して「脚本は絶対だ」と厳しい態度で反論する。禅さんだけに限らず、一人三役四役しているので、それぞれの色が見られて面白い。
二人目の女性を射とめたスタッフの男が坂元さん。若者たちの告白のあと、歌で割りこんで結局美味しいところを持っていく。ドヤ顔で高らかに歌い上げる歌が素晴らしいのが腹立たしい、みたいなキャラ。

再びペンを持って世界を移動する女性=夢子。このLOVE FATEの世界は、虎衛門が書いた小説「夢子の秘密」の世界なのだ。虎衛門が書いたペンで脚本を訂正しようとするけれど、書いた本人でないと直せないのだと知る。その後貧しい青年=虎衛門に訂正させようとするもかなわず、夢子は元の世界に戻る。
そこはパーティが行われている夢子と虎衛門の家だった。虎衛門は昨日散歩の途中に亡くなっており、夢子が酒と一緒に飲んだのは睡眠薬だった。彼女は死にきれず、物語の世界で現実を変更することもできず、戻ってきた。
前述の通り虎衛門が死んだふりをするのが日課だったり、物語の中に入り込むような何でもありの世界なので、最後は虎衛門が生き返るのだと思った。かれが死なないルートに軌道修正されるのだ、と。しかし現実はそううまくいかない。夢子は最初に虎衛門と出会い、池に落ちた場所でかれの幻と会話をする。書きなおせるならどんな話がいいか。子供が出来て、その子の結婚式を見て、最後は公園で一緒に安らかに息を引き取る。嬉しそうに話す夢子をいとおしそうに見つめる虎衛門。しかし、それは夢でしかない。ふたりは離れ離れになってしまった。
虎衛門はかつて、夢子をたんぽぽに喩えた。綿帽子を飛ばして花を咲かせる、色々なところに幸福を届ける花。夢子がたんぽぽでいる限り、自分は風になる、とかれの幻が囁く。そして夢子は一人で、心優しい隣人や従業員に囲まれて生きてゆく決意をする。

最後はちょっとほろっと来る良い話だった。生き返ると思ったのに…!玉野さんがタップダンスの第一人者だということもあって、非常にタップの多い舞台だった。そんなにタップふまなくても!と思いつつも、面白かった。
しかしわたし抜きんでてリズム感がないので、音楽をバックにして披露されるタップダンスのリズムが合ってるのか合ってないのか、さっぱりわかりません…。

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posted by: mngn1012 | ライヴ・舞台など | 01:14 | - | - |

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