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Studio Life「シモンとヴァリエ LILIES」<BLANC>

作:ミシェル・マーク・ブシャルド
上演台本、演出:倉田淳

シモン・デュセー:高根研一
ヴァリエ・ド・ティリー:山本芳樹
マリー・ロール・ド・ティリー伯爵夫人:楢原秀佳
ユー男爵夫人:小林浩司
ジャン・ビロドー司教:船戸慎士
聖ミッシェル神父:前田倫良
ユー男爵:大沢健
ジャン・ビロドー:奥田努
マドモアゼル・リディアンヌ・ド・ロジェ:甲斐政彦
晩年のシモン/ティモシー・ドゥセー:石飛幸治

***
2003年に上演された「LILIES」、こちらはBLANCチーム。
もうひとつのキャスト、ROUGEチームの感想はこちら
シモンとヴァリエは2002年の初演から続けてのキャストのよう。(9年前のものとは言えDVDのクレジットの分かりづらさ・テンプレが出来上がっていないHPの記述っぷりがすごい)

地に足のついたヴァリエだった。最初にROUGEを見て、冒頭の「聖セヴァスチャンの殉教」のシーンのヴァリエのへっぴり加減に思わず目を疑ったのだが、山本ヴァリエはきちんと劇中劇を演じていた。いやでもお花畑姜ヴァリエは、あの微妙なポージングのサヌエでいいと思います…かわいいし…かわいいは正義…。
顔にきまじめ!神経質!って書いてある大沢シモンは、その性質ゆえに父を許せず、ビロドーを(友人として、人間として)愛せず、ヴァリエへの思いに葛藤したのだと思った。同様に、その性質ゆえにヴァリエへの思いを全うすることを決心し、早すぎる死の決断を下したようにも見えた。優等生が暴走すると早いよね、という感じ。
それに対してBLANCの高根シモンはもうちょっと荒っぽいというか、年相応の普通の男性の感じがする。髪型・髪色の印象もあるかな。だからこそこの年齢になっても父親に逆らえないこと、父親からの暴力を恐れて行動や感情を制限しようとすることが面白い。体格的にも父親殴って勝ちそうだしこのシモン。でもやらない、できないのは、そういう時代・そういう父子だからだろう。

ティモシー/晩年のシモンはWキャストで結構年齢が違うのね。最後の「俺はお前を生かす」の言い方が、石飛さんのほうが好みだったな。気負いつつもつめたく突き放している。お前のために手を汚すのも感情を動かすのもいやだ、という気持ちと、憎いからこそ望みをかなえてやらないという気持ちが複雑。
シモンに殺してほしかったビロドー司教。自殺が禁じられているからこその願いでもあり、愛するものの手にかかりたいという欲望でもあったのだろう。

曽世さんの伯爵夫人の、浮世離れした感じ・正気と狂気の間にいる微笑み方が好きだ。誰もいない虚空に向かって話しかける、ダンスをするときの手慣れた感じ。楢原さんの伯爵夫人も堂に入った感じですてき。結局のところシモンとヴァリエより、わたしはティリー伯爵夫人が好きなのかもしれない。「最後の場面はいつになったら見られるの?」と言いだしたときはびっくりした。
一番印象的だったのは、「狐狩り」のシーンのあと、夫人が普通に起き上がって去って行くところだ。母を絞殺したあと、ヴァリエはシモンと共にその場を立ち去る。横たわったままの夫人を残したままその場は暗転する。そして数名の囚人仲間が夫人の(夫人役の)もとへ近づき、手を差し伸べる。その手をとって夫人(夫人役)は起き上がり、傍観者に戻る。その一部始終が舞台の上で行われている様子は、灯りを落とされた舞台の上とはいえ、はっきりと見えている。見せている。これがにせものだと、芝居なのだと、作品に没入するあまり忘れてしまいそうになる観客に伝えている。この演出すごい好きだなー。

BLANCのリディアンヌがすてきだった。あだっぽいというかすれっからしというか、ROUGEに比べて恋愛経験が豊富で百戦錬磨の大人の女性っぽい感じがする。そういう女が、たわむれに話しかけた少年に本気になってしまう。舞い上がり、かれの愛情が得られていないのではないかと不安になり、それが確信に変わったときに激怒する。
リディアンヌは気球が爆破されたことでシモンを告訴する、と言った。それはビロドーの仕業であってシモンは無罪だったのだけれど、リディアンヌはシモンの所為だと確信していた。おそらく火を放つシモンのことも知っていただろうから、疑う余地はなかっただろう。更にビロドーが裁判においてシモンに不利な虚偽の証言をしたと、冒頭で晩年のシモンが語っていたので、シモンの罪になったのだろう。爆破事故の詳細が分からないので何ともいえないが、それだけで40年近い禁固刑になるのかな。これまでの放火やヴァリエの件も含まれているのかな。

BLANCの感想じゃないなこれ。

***

フランスから、生活能力のない母親と二人きりで、言葉の通じない・気候の異なるカナダへ来てからのヴァリエのことを考え出すと頭が爆発しそうである。「ヨーロッパ製の服」が「ここの気候」に合わなかった、とかれは言った。おそらく既に裕福ではなかっただろうから、貴族にはふさわしくないようなぺらぺらの服だったのかもしれない。
「一セントも」持たさなかった父と別れてたどり着いたカナダは寒くて凍えそうだった。偶然出会ったシモンがコートを貸してくれたという話から、ビロドーが「聖人」と呼んだシモンの人間性と、ヴァリエのあわれな様子が想像できる。感謝を表現する言葉すら知らなかったであろうヴァリエは、どうやってコートを返したのだろう。
自分たちの面倒を「六年間給金をもらわずに」みてくれるティモシーとの出会いも、ケベックに来てからだろう。シモンがティモシーの子だと知って驚いたのかな。時系列がわからないけれど、父が仕える家の子だからコートを貸したという打算はシモンにふさわしくないように思う。あと実は父の仕えるおうちの伯爵さまだった!っていうほうがドラマティック。六年前だと思うと12歳13歳くらい…ヒィィ。
ちょっとずつ言葉を覚えて、神父に金を出してもらいながら学校に通い、「廃墟」に住みながら母に黙って仕事をして金を稼ぐヴァリエ。貴族、伯爵であること、それにふさわしい在り方を説かれてきたであろうかれにとって、ケベックでの生活は並大抵のものではなかっただろう。それをシモンが支えてきてくれたのかと思えば床をのたうちまわりたい気持ち。
あと学校の屋根裏部屋ってそもそもシモンがビロドーに教わった場所だったり、シモンとビロドーが共有していた場所だったら残酷でいいなーと思っている。もしくはシモンが見つけて息抜きに利用していたのを、善意のストーカー・ビロドーさんが見つけたのかな。シモンはどうも最初からビロドーを(友人としても)好きじゃなかったようなので、これが一番ありそうかな。
考え出すと止まりませんね!!!
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posted by: mngn1012 | 映像作品 | 18:30 | - | - |

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