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團菊祭五月大歌舞伎 夜の部@松竹座

行ってきました。
今回初めて松竹座の横の発券機を使ったんだけれど、クレジットカード挿すとすぐにチケットが出てくる。Loppiみたいに、通信してゆっくり印刷されると思ったら一瞬だった。手数料かからないし、特に引き換え番号とかも要らないし(一応通達されるけれど)便利。

***
一、倭仮名在原系図 蘭平物狂
奴蘭平実は伴義雄:尾上松緑
女房おりく実は音人妻明石:尾上菊之助
水無瀬御前:中村梅枝
壬生与茂作実は大江音人:市川團蔵
在原行平:中村翫雀

須磨から御殿に戻ってきた在原行平は、残してきた美女・松風が忘れられず塞ぎこんでいる。それを見た妻の水無瀬は松風を呼ぶことを決め、奴の蘭平に連れてこさせる。
現れたのは松風に瓜二つの人妻・おりく。同伴している夫を兄だと設定し、行平と面会する。大喜びの行平が松風との再会を喜んでいるところに、取調べするはずだった罪人が逃げたという報告が入る。蘭平の息子で、まだ幼い繁蔵を追っ手とする行平に蘭平は慌ててその役目を買って出るが、刀を見ると乱心する奇病があることを理由に退けられる。
息子を心配するあまり、自分の命令が聞こえない蘭平に怒った行平が刀を抜くと、蘭平は行平の服を着て舞い踊り出す。正気に戻ったあと謝罪すると、慣れている行平から休むように言われた蘭平は、息子を手伝いに行く。陰に潜んでいたおりくの夫・与茂作がいきなり行平を殺そうと斬りかかるも、行平はこれを取り押さえる。繁蔵ともども戻ってきた蘭平が与茂作を取り調べることになる。そこで、二人は生き別れの兄弟であること、父が死んだのは行平と小野篁の策略であることを知る。兄弟は、今後協力して父の仇を取ることを誓う。

正体を現した蘭平は屋敷の連中に追われることになる。大勢の敵を蹴散らしながらも蘭平は、息子が気がかりでならない。とうとう追い詰められた蘭平を、行平・与茂作たちが囲む。実は与茂作は蘭平の正体を探るために、かれの兄弟だと騙っていた、小野篁の家来だった。
抵抗しようとする蘭平を捕縛する為、行平は繁蔵を捕り手とする。息子に抵抗できない父と、父を縄にかけられない息子。結局蘭平は隠し持っていた宝を繁蔵に渡し、行平に献上するよう仕向ける。息子の出世を見届けて切腹しようとする蘭平に、行平が出家を勧める。


単なるおりくの付き添いの夫に見せかけて実は行平の命を狙う蘭平の兄弟でした、というふりをしている蘭平の動向を探る小野篁の部下でした、ってどんだけ嘘つきなの。しかも実際の蘭平の弟はさっき繁蔵と蘭平によって討たれたところ、ってひどいの極み。実は○○でした、実は兄弟/親子でした、はよくある展開なんだけれど、それを何重にもかぶせてくるところがすごい。
いくら似てるからって、自分が好きだった女とそっくりさんを間違える行平まぬけだなあと思ってたんだが、そもそもおりくと与茂作が来たこと自体が行平(と小野篁)の作戦…?松風に似てるか、なんて蘭平にはわかんないし。蘭平の乱心に行平が寛容だったのも、動向を見てたからなのかな。策士!

実は裏で物凄い騙し合いをしていた一幕と、立ち回りが非常に華やかな二幕。大勢の追っ手を相手に強さを見せ付ける蘭平の大立ち回りは時間がたっぷりあるんだけれど見ていて飽きない。台詞なしに、ひたすらアクションでひとを惹きつけるってすごい。梯子を使って蘭平が一回転したり、追っ手が井戸に落ちていったり、屋根からバク宙で飛び降りたり。少し失敗すると命に関わるだけに、緊張感も凄い。追っ手が声を上げなければ蘭平もっとはやく捕らえられてたんじゃないの、とは言わないお約束。
力強い、鬼神のような強さを見せる蘭平が、敵を撒いた瞬間に息子を呼ぶのがせつない。息子の安否が知れない父の不安と、行平に取り立てられたからにはもう一生会えないかもしれないという寂しさが伝わる弱々しい叫びだ。

そんな蘭平の息子を演じていたのが上村吉太朗くん。子役らしい、小さくて頑張ってて可愛い、だけじゃないものがあった。父親を捕らえるように言われた繁蔵が、武士として主君の命令に従って捕まえようとする強い意志と、父への情の間で揺れている様子が拙いながらも非常に感じられた。
誰かの息子さんだと思ったら、片岡我當さんの部屋子らしい。今後が楽しみ。

二、弁天娘女男白浪 浜松屋見世先の場/稲瀬川勢揃いの場
弁天小僧菊之助:尾上菊五郎
南郷力丸:市川左團次
赤星十三郎:中村時蔵
忠信利平:河原崎権十郎
浜松屋伜宗之助:尾上右近
鳶頭清次:市川團蔵
浜松屋幸兵衛:坂東彦三郎
日本駄右衛門:市川團十郎

わーい弁天娘!菊之助と番頭の会話シーンは「お芝居と言えば松竹座で團菊祭が初日から連日大入りで」で拍手。満員御礼じゃないのが寂しいところ、ではある。
「お嬢様の好きな役者をあててみましょう、やっぱり尾上菊五郎」「あんな奴は嫌いじゃ」「では市川團十郎」のお馴染みの流れ、違うと言葉にせず首を振って否定する菊之助がかわいい。「では市川左團次」と言われて満足そうに微笑んで首肯するとこもかわいい。力丸は「あんな男大嫌いです」と返す。

正体がばれたあと菊之助が豹変するところ、居直るところがやっぱり大好き。美人局は大切にしたい日本文化!犯罪だけども!
菊五郎さんの菊之助、悪びれもせず居直ってるときの飄々とした感じが凄くいい。着物を脱ぎ捨てて楽な格好になるところも、煙管をくわえるところも自然で、無理して男っぽく見せている感じがない。そういう男なのだ、と思わせてくれる。けれど女に扮しているときは女そのもの。男性が、女性のふりをしている男性の芝居をする、女性のふりをしている男性が男性だとばれて男性らしくふるまう芝居をする、というカオスっぷりのカオスはそのままに、でもなんだかとてもナチュラル。あーいいよね菊之助!アガる!連ドラでやってほしい!大河でもいい!

團十郎さん、どことなく覇気がないというかお疲れの様子?に見えた。昼の部からの流れもあるんだろうけれど、ひかえめの日本駄右衛門でした。

三、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子
小姓弥生/獅子の精:尾上菊之助

江戸城本丸御殿、余興として小姓弥生が踊りを披露するために連れてこられる。恥ずかしがって控えの間に逃げるも再度引きずり出された弥生は踊り出す。獅子頭を手に踊り出した弥生は、獅子の精に連れ去られる。そして獅子の精が現れ、獅子の狂いを見せ付ける。

二人がかりで連れてこられたあと恥ずかしがって奥の間に引っ込んで、もう一度連れてこられるくだりの照れっぷりが可愛い。表情と、なにより仕草が雄弁に心情を伝えてくる。そしていざ踊りだすと、それまでの遠慮は何だったんだ、というくらい踊る。
何も持たない手踊りのあと真っ赤な袱紗を持って踊り、扇、二枚扇と徐々に持ち物を変えての優雅な踊りが続く。そのあと獅子頭を持って踊りだすことになる。舞い込んだ二匹の蝶と戯れるように踊っているかと思えば、獅子頭に獅子の精が乗り移り、踊る弥生ではなく獅子頭が動きを牛耳るようになる。このあたりの、どこからが弥生主導でどこからが獅子主導なのか、がみどころだと思う。踊ってるのか踊らされてるのか、弥生自身にもどこまで分かっているのだろうか。

弥生が獅子の精に連れて行かれたあと、静まり返った会場に突如響く三味線もいい。弦楽器好すきすき。静かになる一瞬の隙をついて入る大向うを聞くと、ギターソロの直前を狙うコールを思い出すね!「ましろのおと」を最近読んだ所為もあってか、余計に三味線がアツい。

獅子の精が出てくる前に舞う、胡蝶の精ふたりの袖が蝶の羽になった着物が可愛い。獅子の精の踊りは、獅子の見た目の通り勇猛なんだけれど、どこか優雅。力強いんだけれど荒っぽい感じがなくて楽しい。
あともふもふかわいい。
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posted by: mngn1012 | ライヴ・舞台など | 16:01 | - | - |

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