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陵クミコ「愛しい声」

陵クミコ「愛しい声」
祖父母と暮らしている衛は、行きつけの喫茶店のマスター柳井に思いを寄せている。柳井の親友であり、同じく常連客の鵜瀬も柳井を狙っていることに焦る衛は、誕生日の夜、とうとう柳井に告白する。

父ははじめからおらず、母が亡くなったのを機に衛は祖父母と暮らしている。優しい祖父母との生活に不自由はないけれど、どうしたって寂しくなってしまうこと・祖父母だけでは満たされないことはあっただろう。さらに衛を孤独にしたのが、同性を恋愛対象にするかれのセクシャリティだ。そういう孤独を癒してくれたのが柳井だった。20歳近く年上の柳井は、大学生でおそらくそれほど社交的でもない衛にとって、殆どはじめて接した他人の「大人」だったのだろう。客商売と年齢によって多少のことでは動じない、けれども穏やかな雰囲気に衛は癒され、自分の事を何もかも打ち明け、それでも動じない柳井に恋をした。

衛の柳井への気持ちを知っていて、牽制したりからかったりしてくるのが柳井の友人で、かれとは正反対の性格をしている鵜瀬だ。口が悪くて大雑把で、そして自分と正反対の鵜瀬に恋をしている。
鵜瀬からの情報と自分が実際に体感したことから、衛は自分の恋がうまくいかないであろうことを知っている。柳井がヘテロであることも、自分にそういう思いを一切抱いていないことも知っている。知っていて、それでも好きでいる。
おとなしそうな見た目で孤独を抱える衛だけれど、なかなか気性が荒く、根性がすわっている。駄目だとしてもきちんと自分の口から伝えたい、と言う。

決死の覚悟で、駄目元で告白する衛のまっすぐさがいい。けれど柳井はそれを取り合わない。かれらしくなく動揺して、勘違いだとまで言ってのける。その言葉に当然衛は傷つき憤るけれど、柳井にもやすやすと受け入れられない理由がある。衛は知らない、かれの根本を揺るがす、残酷な理由が。
明かされてしまったその理由に驚いた。驚いて、そのどろどろ具合が非常に好きだと思った。表2の作者コメント「のほほーんな話です」が完全に詐欺!前半のこのあたりの部分、柳井への片思いが募って告白してから真実が明らかになるまでの展開が、非常に残酷な偶然が重なって生まれた昼ドラばりの悲劇で面白かった。

そこから鵜瀬と恋愛するようになるまでの後半は、いきなり起こった刑事事件といい、トーンダウンした感じが否めない。。衛が鵜瀬を好きになったのは分からなくもないんだけれど、鵜瀬がいつから衛を好きだったのかいまいちはっきりしない。最初から衛狙いだった・衛に興味を持っていたようにも見えるし、途中で宗旨替えしたようにも感じられる。なんかこうBLパターンをある程度把握している観点から見ると分かるんだけれど、単に物語として見ると物足りない。過剰にドラマティックなラストは嫌いじゃないんだけれど。前半が良かっただけに惜しい。

どうでもいいBL豆知識:職業を聞かれて「公務員」とだけ答える口の悪い男は大体警察関係者。気づいてしまう自分がいやだ。
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posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 21:48 | - | - |

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