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薄桜鬼 碧血録 第十七話「玉響の夢」

今回作画がひどくて熱演が勿体無いほどなんだけれど、悲しい別れの回ではなく、比較的穏やかな話のときでまだましだったと思うことにする。

近藤と別れた土方たちは、旧幕府軍と共に行動することになる。かれらが壬生狼と呼ばれて恐れられ乃至は軽視されていた頃を知っている連中は、本人に聞こえることも気にせず噂話に夢中になっている。そんな、仲間とは呼びがたい態度の集団の中にいること、近藤の消息が不明であること、更には日中の移動が重なって、土方の表情がどんどん荒んでいく。

新八ともども新選組を離脱した原田は、ひとり江戸にいた。かれにはかれの、やるべきことがあるようだ。そこへ現れたのは不知火だ。いつでも命を賭けた戦いをする気持ちでいる二人は、その一方で、お互いの状況を越えた情報交換をする。新しい羅刹を開発した綱道は、大勢の羅刹のため、血を得るための戦を起こすつもりだと不知火は言う。義のため信念のためではない行動に、全く立場の違う二人の男は同じ憤りを感じている。
人間の戦に介入するつもりの不知火に、原田は事情を聞く。風間や天霧と比べても、人間に思いいれの強そうなかれは、多くを語らない代わりに、高杉晋作が気に入っていたという吉田松陰の句を口にする。ゲームでも細かいことは明かされない、この不知火の過去の話がわたしはすごく好きなので、短いエピソードがきちんと含まれていたことが嬉しかった。不知火にとっておそらく何よりも大切な思い出である過去を、かれがきっと何度も噛み締めるように諳んじた句を原田に明かすというのは、かれが原田を認めたという証明だろう。仲間にはならない。馴れ合うこともない。必要とあれば相手を殺すこともためらわない。けれど、確かに二人はお互いを高く評価しているのだ。
そして原田は原田で、甲府での恩をいつか返すつもりでいる。

大鳥圭介登場。握手を求めて手を差し出してきたかれに、その行為自体を知らない土方は一瞥をかえす。総督として、仕事の一部を土方に任せたいという言葉にも、あまり良い反応はしない。疲れと旧幕府軍の態度で気が立っていること、なにより大鳥というのがどういう人間なのか分からない以上は信用しない、というところか。
大鳥がうまいと思うのは、土方に依頼するときに新選組の名前を出すところだ。それを言われてしまえば、かれは決して断れない。どころか、持っている最大限の力を使うだろう。新選組の名を背負うこと、守ることとはそういうことだ。
だからかれは腹心の島田を別の部隊へ配置する。その意図を汲みきれない島田は不安を口にする。大きな集団の中に、新選組がもはや吸収されてしまったように見えるからこその不安だろう。自分は新選組の島田として参加する、誠の隊旗を掲げる、というかれの言葉がいい。
斎藤、山崎、島田と土方の関係性がとってもすき。

休憩中の土方が珍しく弱音を吐く。自分ひとりで新選組を支えられるわけがない、何を信じて生きればいいんだ、というかれの言葉は、誰かに答を求める類のものではない。ただの愚痴だ。けれど、ただの愚痴をはけるほど千鶴を信頼しているということでもある。残っている隊士は土方を信じている、という千鶴の言葉に、土方は「見失ったものは自分でもう一度見つけるしかない」と結論を出す。千鶴の言葉に触発されたというよりは、千鶴に本音を吐くことで気持ちを晴らしたというところか。
そんな気持ちとは裏腹に、土方を発作が襲う。血を与えるために刀で自分を傷つけようとする千鶴を制して、土方は自分がやるから、と言う。血を飲む自分を見られたくないという気持ちもあるんだろうけれど、千鶴にしてみれば、自分の手で自分を傷つけるより、土方に無言でうなじを切りつけられるほうがよっぽど恐怖だと思うよ…。血を与えるシーンはアニメで見ると案外ぱっとしなかったな、というのが本音。作画の問題か演出の問題か。

己の信念に基づいて行動する新八は、旧幕府軍に合流する。そこで近藤の状況を知らされたかれは、「土方さんでかいものを背負い込んじまったな」と言う。近藤への心配もあるだろうが、かれは残された土方を先に気遣う。大雑把で荒っぽく見えて、実はとても細部に気の回るかれが、沢山の人間を残していく・荷物を背負わせると承知で新選組を離れたのには、並外れた決意が必要だったのだと思わされる。

旧幕府軍は宇都宮城を攻める。新しい戦い方、西洋式の戦い方はなかなか決着がつかない。そのことに痺れを切らした土方は、敵陣に突撃するように命令を出す。銃が一発くらい当たってもすぐに死なない、というかれの言い分は勿論簡単に受け入れられるものではない。
かつての新選組の連中ならば笑いながら我先にと敵陣へ突っ込んでいったかもしれない。(義のため自分の信念のために戦うかれらは、自分の命をもったいぶることはなかったけれど、無駄にするつもりもなかったから、実際は拒んだかもしれないが。)少なくとも土方はそう思っているようにみえる。けれどここにいるのはそういう仲間ではないし、何より時代が違う。それに、銃が当たってもというのは、土方が羅刹だからこその台詞のように思えてしまう。
命令通り動かない軍に苛立った土方は、単身、刀を抜いて敵陣へ突っ込んでいく。次から次へと敵を斬ってゆくかれの姿に、銃を持っていた部下たちはついてゆく。拒んだ部下をひとり斬ったゲームに比べるとまだおとなしいほうだけれど、ここは個人的に解せないエピソードだ。いくつもの苛立ちや不安を抱き、口にはしないけれど戦い方が変わって刀の時代が終わることへの焦燥もあるだろう土方のとった行動は、自棄のように見える。それに部下を巻き込むことは賢明とは思えない。なにより、そういう土方に感銘を受けてついていくほかのひとびと、が腑に落ちない。うーん。

とはいえ、結局刀で土方は城内へ入っていく。そこにいるのは風間と天霧だ。土方との邂逅に、かつて顔を傷つけられた恨みが癒えない風間じはいきりたつが、私怨で動く風間に天霧は冷静だ。けれど風間は聞く耳を持たない。どころかかれは、対土方戦用にと、簡単に治癒しない傷をつける鬼殺しの刀を持ってきている。それは風間が、土方を危険な存在だと捉えているということだ。「まがい物相手にずいぶん大層な」と、普段羅刹を軽視したことばかり言う風間の言葉を使う土方の皮肉がいい。
深手を負わされ、羅刹化すらとけた土方を立ち上がらせるのは風間への怒りだ。「新選組を葬り去ってやる」と言ったかれへの怒りだ。自分のことはまがい物の武士、まがい物の鬼といわれても動じない土方が、新選組の名を汚されることを極端に嫌うのがとてもいい。もはや勝てるはずもない旧幕府軍についていても何ら良いことはない、「沈みゆく船にこのまま乗り続けるか」と天霧に問われた土方は言う。俺が守りたいのは幕府でも将軍でもなく新選組だ、と。
新選組を守る、とは何だろう。消息どころか生死すら不明の、そしておそらくもう戻ってこないと分かっている局長。組長たちも、あるものは死に、あるものは「鬼のまがい物」となり、あるものは離脱し、あるものは病に伏している。残っている人間の方が少ない有様だ。それでも土方は新選組の名を背負って戦い続ける。新選組と言われれば無様なことはできないと人の何倍も行動し、汚名がつくことを許さない。天霧は幕府や将軍を沈みゆく船と言ったが、もはや新選組だって沈むしかない船なのだ。再興されることなど決してない船。留まる港を失った船。必死になってそれを守ることは、たぶん、旧幕府軍の中にあっても隊旗を掲げる島田の気持ちと同じだ。

傷を負った土方は日光に暫し逗留する。
体調を省みず仕事をしようとする土方を千鶴が叱る。それを土方はかつてのように強く拒むことはしない。どころか、真剣に自分を思っているからこそ口うるさく言う千鶴の小言を、どこか楽しそうに聞いている。
見舞いに来た大鳥が土方を、参謀としては失格だ、と叱りつける。頭脳が死んでしまっては、手足が残っても駄目だ、と最初に飛び込んでいった土方を非難するかれの言葉に、土方はかつて同じことを言った仲間を思い出す。正気を失っていた自分を庇って死んだ山崎が、死ぬ直前に言っていたことばだ。そのことを言わずに土方はただ笑う。
このときに土方は大鳥への認識を改めたのだろう。爽やかな坊ちゃん然としたかれは、むくつけき武士達の中では非常に弱そうに見えるし、穏やかでのんびりした話し方の所為もあって頼りなさそうに見える。けれどかれはきちんとした信念を持ち行動しているのだと、土方は思い知る。折角落としたにも関わらず数日で取り返されてしまった城について話した新八に、「城は取り返せるが、お前の命は取り返しがつかない」と笑うかれは、自分が忘れていたこと、何度も見落としてしまったことを取り戻した。

そして次回予告が…とってもきつそう…。楽しみ!

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posted by: mngn1012 | 薄桜鬼 | 18:15 | - | - |

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