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エンゾウ「かわいさ余って何かが百倍」

エンゾウ「かわいさ余って何かが百倍」
妻子ある上司との不倫を続けるゲイの三國は、その現場を花屋の店長一ノ宮に見られてしまう。不毛な恋愛を一ノ宮に頭ごなしに否定されて傷つく三國だったが、一ノ宮は楽しそうに再会のきっかけを作ってくる。

元々の出会いからして、決していいものではなかった。通りがかった花屋の店先で、柄の悪い男がブツブツ言いながら商品を弄っているから注意したところ、まさかの店長だったのだ。スタッフがつけるエプロンをつけることを拒否している一ノ宮は、いかにも悪そうな風貌と目つきの鋭さで、どう見ても花屋の店長には見えなかったのだ。そして真面目な三國は、それを黙って見過ごすわけには行かなかった。年下のかれに大人として注意したところ、まさかの店長だったのだ。

しかも一ノ宮の花屋は、三國の会社に出入りしている花屋だ。
明らかに三國を都合のいい捌け口としか見ていない上司に呼びつけられて、言われるがままに会社でかれの欲だけを満たす空しい現場を見た一ノ宮は、一人きり捨て置かれた三國の前に現れる。傷ついた上、ばつの悪そうな顔をする三國に一ノ宮は全く容赦がない。三國がゲイであることも、上司に利用されていることも、嘲笑しながら指摘する。
そのあと一ノ宮の策略で三國と再会したときも、三たび顔を合わせたときも、かれは同じように振舞う。優しさも思いやりもない酷い言葉に三國は当然傷つき、号泣しながら怒る。男同士で悪いのか、恋をして悪いのか、と言うかれの言葉はありふれているけれど切ない。普通ならばそこで一ノ宮は反省したり、心を動かされたりするのだが、かれはさっぱり懲りない。自分の言葉に傷ついて泣き喚く三國の姿に悦びを感じている。そしてそのことを一切隠そうとしない。

一ノ宮は好きな相手、気になる相手が自分に傷つけられることに快感を覚える、言ってしまえばサディストだ。今風に言うとドS。別に理由などない。何か事情やトラウマがあってそうなったのではなく、単に、そういう性癖なのだ。ナチュラル・ボーン・サディスト。一ノ宮は三國を傷つけたことに謝罪などしない。俺はそういう人間なんだ、これが愛情表現なんだと言い切ってしまう。思わせぶりな態度を見せて、三國が釣れたら力いっぱい突き放す。酷いけれど、本命の片手間に自分の相手をしていた人間からは与えられなかったその勢いのつよさに、三國も巻き込まれる。一ノ宮だけが自分を見てくれる、自分を一番に欲してくれている、それだけで三國は保たれる。
とはいえ三國も負けていない。苛められて傷ついて終わるのでも、苛められることに悦びを覚えるのでもなく、かれはかれの恋愛のやり方で応える。なんだかんだで恋愛経験豊富な三國が一ノ宮を振り回したりもしていて、いざ恋愛関係になったらお互い強気同士で一歩も退かないあたりが良い。

タイトル作の中で三國が呑みに行ったゲイバーを舞台にした、ママの息子で店を手伝うノンケと、バイトのニューハーフの話も収録されている。一話目は、ニューハーフとしか描かれていない唯が、普段は男の格好をしていたり、口調が男だったり、ましてや攻なことに驚くのだが、二話目から「女装好き」という設定が加わったので辻褄は合ったかな。個人的にはオカマ攻女装攻すきなので、辻褄さえ合えば問題なし!
短編も中編も安定感があって面白かった。

***
わたしは知らないのだが二次創作で以前から活動されていた作家さんということなので偶然なのかもしれないけれど、どことなくヤマシタトモコさんを彷彿させるタッチだった。男性キャラの絵とか見せゴマとかトーンワークとか。あとニューハーフ攻の話は設定と唯の容姿で「Candied Lemon Peel」を思い出した。
あと目次でタイトルが誤植(「愛してる」が「愛している」)されててお気の毒でした…。
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posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 21:32 | - | - |

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