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かわい有美子「流星シロップ」

かわい有美子「流星シロップ」
清泉学園中等部に入学した峰は、そこで遠縁の衛守と再会した。幼いころ、自分を庇って大怪我をした衛守の、今も変わらない寡黙で優しい人間性に峰は惹かれ始める。

「空色スピカ」<感想>のスピンオフ作。前作で楠ノ瀬と高科を次期生徒会長・副会長に指名した峰と衛守の物語。二人が中学に入学した時から、高校を卒業するまでの六年間が描かれている。

峰はかなりしたたかな性格だ。ずば抜けて容姿が整っているだけでなく、生家が金持ちでしかも勉強もできるかれは、そのままの自分でいれば悪目立ちすることを、中学生の段階で知っていた。複雑な家庭環境がかれをそういう風に育ててしまったのかもしれない。峰はみんなに妬まれずに愛されるための方法をいくつも知っており、それを実行し続けた。人間関係を円滑に済ますことにかれは必死だった。かれはとても聡明で、どこか皮肉っぽいけれど、そんな振る舞いを幼いころから自分に強いてきたのかと思えば気の毒だ。ありのままの自分でいるだけではだめなのだと、峰は思っている。思いこんでいる。

六年間に、あらゆる事が起こる。思い出したくもない酷い事件も、なんでもない日々も、嬉しかったことも、全てをかれらは共に経験してきた。そのたびに峰は衛守を好きになる。今も背中にありありと残る怪我を負ったのに、一言も峰を恨まなかった潔いところ。いざというときに絶対に助けてくれるところ、真面目で優しいところ、そして何より、自分が一番欲しい言葉をくれるところ。それらに恋い焦がれて、なんとしてでもかれを手に入れたいと峰は思うようになる。そのためのかれの努力がまた、凄まじい。

ずっと一緒にいてもおかしいと思われないように根回しし、同じ役職に就けるように身を粉にし、なんとか同室になれるように教師に取り入り、峰は少しずつ衛守の周囲を固めていく。一歩間違えれば相手に恐怖を与えかねないほどの念入りさで、峰は衛守の一番近いポジションを獲得した。その狂気めいた執念が、かれの才能に満ち溢れた人間性や整った容姿を伴って非常に驚異的だ。
かと思えば峰は、年々成長する自分の容姿にコンプレックスを抱いている。その辺の女の子よりも可愛かった昔と比べれば、180センチ近い身長になった現在の峰には、女性らしさなどは全くない。そのことが峰を苛む。王子様だと言われるたび、かれは抵抗を感じている。衛守に相応しいのは王子様ではなくお姫様なのだとでも思っているのだろう。きれいなかれが自分の見た目を嫌うアンバランスさが面白い。恋愛ってないものねだり。
思いっきりしたたかなかれの中にある、唯一の不安材料がこのルックスにあるというのがちぐはぐで好きだ。

殆ど自分から行動しない衛守と、放っておけば暴走しかねない峰はいいコンビだ。必死に衛守を陥落しようとする峰の、年相応の拙い誘惑が可愛らしい。性に興味を持ち過ぎるあたりが男子高校生らしくて好きだ。

相変わらず学生たちの日々は眩しい。悪ノリをしてしまうお坊ちゃんたちは屈託がなく、いいこともいやなことも含めてすてきな日々。やっぱりこのシリーズ大好き!
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posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 22:58 | - | - |

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