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ユキムラ「おいてけぼりブルース」

ユキムラ「おいてけぼりブルース」
課長に昇進した国吉は、同期入社したあと退職してカフェを経営中の平山と曖昧な関係を続けている。もともと自分から誘って始まった関係に自信がもてない国吉のもとに、ある日上司から見合い話が持ちかけられる。

著者のこれまでの作品で一番面白いと思った。これが麗人の力か…。麗人は他誌とは違って、敢えて型にはめないことで麗人の色を出しているような印象がある。実際どうなのかは勿論知らないけれど、NGが少なそう(なさそう)なので、そのことが良い方向に転がっているのだろう。

そんなこんなで面白かった。サラリーマンとしてばりばり仕事をして、上司からも部下からも慕われている国吉は、同期の中でも出世が早かった。課長に昇進したかれは、平山が営むカフェに報告にやってくる。それは、嬉しいことがあったときに、かれが一番伝えたいのは平山だということだ。
同期ならではの、長年付き合っている友人ならではの会話のあと、二人はそのままベッドになだれ込む。気がきつそうではっきりした男前の国吉が受で、ほやほやしたパーマ頭で性格も口調も行動ものんびりした平山が攻というのがいいじゃない。大体こういう場合、わたしの希望する受攻は反対であることが多いので、それだけで内心ガッツポーズである。
何度も繰り返されたその行為に、国吉は満足と、同じくらいの不満を覚えている。自分は平山のことが好きだけれど、かれの心は読めない。言葉にされたことは一度もないし、何より、この関係が始まったきっかけが、国吉を不安にさせる。
誰にも、一番仲が良かった自分にも相談せず、平山は脱サラすることを決めた。何もかもが決定してからそれを知った国吉は、そのショックと酒の勢いで、なし崩しにかれと関係を持った。持つように、仕向けた。思えばそれは、玉砕覚悟の足掻きだったのだ。アルコールで朦朧とした意識の中で、もう二度と会わないかもしれない元同僚に、いっそ振られてしまえば国吉の気は晴れたのかもしれない。しかし平山は、いとも簡単にその誘いに乗った。そのことで、皮肉にも国吉は、思いつめていた自分とかれの間にある感情の温度差を認識してしまった。
そんなところに舞い込んできた見合い話。平山のことが好きな国吉は、それでも少し揺れる。結婚することにではなく、もしかしたらこのことがあやふやなままの関係になんらかの変化を齎してくれるのではないかと。
関係に自信がもてないサラリーマンの元に見合いが舞い込んでくるというのはひとつの王道パターンだ。しかしこの話が面白かったのは、その王道の道具を振りかざした国吉に対しての平山の反応が、ちょっとばかり普通ではなかったところだろう。別の意味で言葉が足りない二人のすれ違いを、自覚していたのは国吉だけだった。もやもやしている国吉とは正反対に、平山はこの関係がすべて上手くいっていると思っていた。思っていただけではなく、実際うまくいっていたのだ。とんちがきいたようなラストが秀逸だった。
書き下ろしの短編がまたにくい。ぼんやりした平山と、そのぼんやりにカリカリしつつも嬉しそうな国吉の平和ぼけ感が可愛い。

それ以外の短編も面白かった。普通の恋愛ものがあるかと思えば、不穏な屋敷で生きる主従があったり。主従はむしろサイドの親父と叔父が気になって仕方がない…。

ユキムラさんと麗人ってちょっとイメージが沸きにくかったのだけれど、蓋を開けてみればすごくいい組み合わせ。国吉がぱんつ履いてるところがちょっとまぬけですごく好きだった。
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posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 21:42 | - | - |

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