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夏目イサク「タイトロープ」

夏目イサク「タイトロープ」
極道一家の一粒種で跡取り息子として育てられてきた龍之介は、家族ぐるみの付き合いをしている幼馴染みでカタギの直樹に惚れている。その家庭環境の所為でチンピラに喧嘩を売られ続けている龍之介はある日いきなり、跡を継ぐのを止めると言い出した。

なにこのむっちゃくちゃ面白いマンガ…!「どうしようもないけれど」も面白かったけれど、あまりに評判が良すぎてその勢いに飲まれていたのだが、これはもう諸手を挙げて面白いと高らかに叫びたい。面白いよ!関西弁もいい。

直樹に対する気持ちを自覚するのが早く、それを表に出すことに対してためらわなかった龍之介とは違って、直樹は友情以上の曖昧な関係に戸惑い、持て余している。感情は違えども相手を失いたくないという気持ちを持っていたふたりは、お互いの妥協点を探るようにして、キスだけは許す関係になった。それ以上でもそれ以下でもない、名前を付けられない関係は不安定で脆い。
しかし様々な外部からの攻撃によって追い詰められる中で、直樹は龍之介のこれまでに見たことのない面をいくつも知ることになる。自分を守るためには何でもする、自分を傷つけた相手には容赦なく攻撃する、そういう自分中心に回っている龍之介を少しずつ知って、次第に直樹の心は揺れ動いてゆく。

自分を家庭環境で判断せずに、普通に接してくれる直樹がいたから、優しい心や正しい強さを持ち続けることができたのだと龍之介は言う。そして直樹もまた、龍之介がいたからこそ自分が自分らしくあれたのだと、強く正しくいられたのだと思い知る。お互いがお互いのままでいるために、自分らしくいるためには必要不可欠な存在であるふたりの絆が確固たるものになってゆく。

自分が相手のことを好きなのだと自覚する瞬間。そして、相手が自分のことを本当に思ってくれているのだと理解する瞬間。ずっと流れている時間の中で、いきなりふと気づくその瞬間を描くのがとにかく上手い。それまでと何も変わらないのに、その瞬間から何もかもが変わってみえる。腐れ縁のような関係が、一気に恋人同士に変換されるお互いのターニングポイントが丁寧に描かれていて、やたらめったらキュンキュンする。ああかわいい。

実は龍之介よりも腕が立って、短気で口の悪い直樹は、一見とってもツンデレ調でちょっと天然。なので、書き下ろし「その後の龍之介妄想日記」においてかれが無意識に行ったとんでもない愛情表現を龍之介が指摘したとき、てっきり直樹は怒ったり殴ったりしてくるのだと思ったのだが、実際は全然違うものだった。なんだこの可愛さはどうしてくれよう!予想を裏切ってくれる、通り一遍でないリアクションがまた良い。

「どうしようもないけれど」の番外編も収録。一番ばれたくない相手に、心の準備が全くないまま関係を知られてしまったふたりの、パニックになりつつも腹をくくっている姿がいい。相手のことになると我を忘れる愛情と無意識の仲良しっぷりも微笑ましい。
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posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 19:58 | - | - |

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