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よしながふみ「大奥」4

よしながふみ「大奥」4

よしながふみ「大奥」4
三代目家光の御世の続きから、四代目家綱、そして五代目綱吉まで。
家光のエピソードが長いうえにどれも印象的だったので、物語の入りを忘れていた。そうだ、この物語は吉宗の時代にもう一度行きつかねばならないのだった。思いがけないところでばっさり切って次の時代に切り替わる、その冷静すぎるほどに潔い判断はさすがだ。もう少し読みたいと思うところで切る、それが一番難しいけれど、きっと一番面白い。その判断をよしながふみは見誤らない。

家光と有功の関係は長く激動の時代の中で、変化し続ける。追い詰められて逃げ場のない立場の中で愛情を緩やかに育んできたふたりは、有功の肉体的な問題によって第三者の介入を余儀なくされる。愛しあうがゆえに戸惑っていたふたりは、それでも生きてゆかなくてはならない。自分のために、相手のために、何よりも争いのない平和な世のために。嫉妬の中でもふたりは腹をくくって前を見る決意をするけれど、結果的にはその強さが二人を引き裂いた。愛しているからこそもう男と女の関係を断ち切りたいと願う有功の願いを、家光は受け入れた。だからこそ有功だけが、いつまでも家光の中で特別な存在であり続けたというのは皮肉な話だ。
家光の死後、お夏の方は再度出家したけれど、有功は仏門に入ることをよしとしなかった。それは家光の遺言の所為だけでなく、無理矢理に還俗させられたのちに家光の苦悩を知ったかれが、苦界に堕ちてこそ救えるものがあるのだと実感したからでもあったと思う。家光との関係で得たものが、かれの中に遺っているのだ。

幸薄そうな容貌通りに、あまり幸福ではない生涯をすごした家綱のあとに現れた綱吉は、ものすごく女。将軍である前に、人間である前に女である、そういう人間がトップに立ってしまった。過去の事件を掘り起こして人を死罪にしたかと思えば、戯れに他人の男を奪う。そうして捨てて、後のことには興味を起こさない。一番将軍になってはいけないタイプの人間が将軍になった。しかも馬鹿ではないところがまた恐ろしい。
どんどん違うタイプの人間が出てくる。そのどれもが想像できるような気性だ。こういうひといるよね、と容易に思い浮かべることができるはっきりした人物像を、少ない描写とで表現しきる能力はとてつもない。「大奥」は読むたびに、最初から最後まで感心と興奮が途絶えない恐ろしい作品だ。

そして後半、おそらく今後の鍵を握りそうな右衛門佐が登場する。曲者の綱吉にまんまと条件を飲ませたかれの狙いは何なのか。そして馬鹿のふりもできる、頭のきれる綱吉が簡単にかれの願いを承諾したのはどうしてなのか。今後が気になってたまらない。

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posted by: mngn1012 | 本の感想 | 01:36 | - | - |

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