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渡海奈穂「甘えたがりで意地っ張り」

渡海奈穂「甘えたがりで意地っ張り」
祖父母の影響で何事にも動じない性格に育った小林は、学校の有名人であるひとつ年上の来生に何故か気に入られる。一方的に構われ懐かれているうちに来生に惹かれていった小林だが、それを知った来生は思わず逃げ出す。遊びだったのでも冗談だったのでもなく、本当は来生の方こそ小林をずっと前から好きだったのだ。

ひとめで恋に落ちた相手がいて、ずっと片想いしていて、とうとう話しかけることができた。次第に仲良くなっていったらなんと向こうから告白してきた、とくれば、普通は大団円だ。性別はこの際置いておけば、お互いに恋人がいるわけでも恋愛を禁止されているわけでもないのだし、家が敵同士なのでもないし、もはや問題はないはずである。
しかし来生は、両思いだと知った瞬間に逃げた。逃げてそのまま戻らず、翌日からも逃げ続けた。
理由は、相手が想像している何十倍も、自分は相手のことが好きだったから。手帳にデータを書き連ねるくらい好きで、真剣に向かい合うことすら恥かしいくらいに好きで、だから逃げた。照れているなんていう可愛いレベルではないその来生の抵抗に、小林は面と向かって「面倒くさい」と言ってのけた。まさに面倒くさい来生と、そんな面倒くさいところを知ってもやっぱり来生を好きだった小林の、押したり引いたり宥めすかしたり怒ったりの駆け引きが面白い。ネガティブで格好つけでまさに面倒くさい来生の発言に苛立ちながら、早く治まるところに治まれ!と手に汗握ってしまう展開が面白い。

タイトル通り「甘えたがり」で尚且つ「意地っ張り」な本性を露呈させた来生に対しても、小林は決して優しくない。かれのそういった性質を知りすぎるくらいに知っているくせに甘やかしてくれないし、小林が好きすぎて意地を張らずにいられないかれの鼻っ柱を悉く折る。それも、容赦なく。
小林が優しくない理由のひとつめは、かれが繊細な感情の機微に疎いということだ。あまり幸せではなかった少年時代の生活が、些細なことには動じない小林の人格形成に多大な影響を及ぼしている。だからかれはたまに、来生が絶望してしまいそうなくらいに冷たい言葉を吐いたり、突き放すようなことを言う。義理の弟のことで真剣に悩む来生に、関係ないだの好きにしろだの無駄だのと言ってのける。
そしてもうひとつは、根暗で恐がりな来生の怯えるくせを直そうとしているのだろう。小林の前に立つと、相手が好きすぎるあまりまともに振舞えない自覚のある来生は、ことあるごとに小林から逃げようとする。小林が行動するのを待って、それに合わせておこうとする。小林はそれを許さない。本性をもっと曝け出せと、素直になった来生ごと受け止めてやるからさっさと見せろと無言で責めてくる。深いけれど、あまり優しくない分かりにくい愛情だ。そしてかれは自分の判断が正しいと確信しているので、揺れることも迷うことも反省することもない。傍からみれば傲慢にもとれる態度だが、それでも来生は小林が好きで好きでたまらず、一緒にいるだけでとっても幸せそうだからいいのだ。

二人ともが、これ以上ないくらい大胆に振舞ったかと思えば、些細なことで真っ赤になったりする。来生などは年下の小林を下の名前で呼ぶのが恥かしいあまり、「恒太さん」というまるで妻のような呼び方をしている。このアンバランスさがいじらしいやらおもろいやら、勝手にやってろ、と言いたくなる甘酸っぱさでいい。
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posted by: mngn1012 | 本の感想(BL・やおい・百合) | 22:25 | - | - |

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