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2012年BL漫画個人的ランキング(と振り返っていろいろ)

10位
SHOOWA「イベリコ豚と恋と椿。」 <感想
今年はSHOOWAさんの年だった、というのは言いすぎかもしれないが、今年話題になった人の中には必ず入ってくると思う。絶版状態だった過去の本まで新装版の発売が開始しているし、新作もどんどん出るので嬉しい限り。個人的には「Non Tea Room」が大好きで、「向日性のとびら」がすごかった。時代がSHOOWAに追いついたんだな、と真面目に思っている。
そんなSHOOWAさんの快進撃の口火を切ったのがこの本だったと思う。続きもたのしみ。

9位
これ続かないのかなー日向さんの謎?は別に明らかにならなくていいので、もっとはっきりラブにならないのかなー。動物を描くのが異様にうまいハルヒラさんの魅力が最大限に活かされたキャラ造形と、ふしぎな世界でした。

8位
カサイウカ「いつか友達じゃなくなるとしても」  <感想
センシティブBL大好き!!!初々しいラブをきっちり一冊まるごと描いてくれたのが嬉しかった。読み応えたくさん。末永く爆発しろ!

7位
秀良子「金持ち君と貧乏君」 <感想
今年も大活躍だった秀さん。メインの二人よりも祖父世代の話が好きでした。泣けた。

6位
SHOOWA「パパ’sアサシン。〜龍之介は飛んでゆく。〜」 <感想
このすっとぼけたタイトルが背中を押しているのか足を引っ張っているのか分からないが、シリアスかつ先の読めない展開とまじめに切ない恋愛。こちらも続きがたのしみ。

5位
原作:遠野春日・漫画:麻々原絵里依「茅島氏の優雅な生活〜プロポーズ編〜」 <感想
幸せなコミカライズでした。原作が元々好きなんだけれど、麻々原さんの描く茅島さまと庭師とお屋敷やお庭は、それを何十倍にも膨らませてくれた。

4位
秀良子「彼のバラ色の人生」  <感想
じれったいラブ。無神経コマノと自意識過剰ナツキの、どう考えてもお前ら意見があわないだろうというカップル。お似合いじゃないにもほどがあるけれど両思いで、幸せ。

3位
市川けい「スロースターター」 <感想
センシティブBLが好きなんだってば!!じれったいもどかしい恥ずかしい大好きっ。

2位
雲田はるこ「新宿ラッキーホール」 <感想
雲田さんはBLより一般作のほうが好きな作家さんだったのだが、一般作のあとのBLは最強だったという話。萌えとストーリー構成のバランスがすばらしい。

1位
日高ショーコ「憂鬱な朝」4 <感想
しつこいですか?しつこいですよね?でもこれ以上に面白い本を知らないよ…!画面の質はもちろん、物語も全く失速せずに続いていてほんとうに理想的な物語だと思う。大好き。

***

「百日の薔薇」はまた出なかったな…。
リバップルの日常「フジワラくんとセトくんのはなし」、イラストレーター本人によるコミカライズ「DEAD LOCK」、安定の西田東節「まだ愛が足りない」、かわいそうなこどもたちの「きみにうつる星」、ダサい大学生がかわいい「狼は魔法を」、ガチのシルバーBL「願いごとはひだまりで」など面白かった本はほかにもたくさん。
全体の弾数からすると面白い本が少ない印象なのだが、具体例を挙げると面白い本はたくさんありますね。2013年も出会えますように!
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posted by: mngn1012 | その他やおい・BL関連 | 21:00 | - | - |

2011年BL漫画個人的ランキング(と振り返っていろいろ)

10位
西田東「恋と刑事」感想
ここ数年の西田東作品の中では一番好き。切れ味と切なさとオモシロの配分がいい。あと「社長桃井くん」もすっごくオモシロかったんだけど、これはその魅力を説明できる自信がない。

9位
雲之助「幸せになるのさ!」 感想
好きだからどきどきする!両思いで幸せ!ずっとその幸せが続きますように!という話が好き。幸せが伝播するような一冊。

8位
わたなべあじあ「ピンクのおもちゃ」
ハッピーSM。お互いへの愛情とSMの両立っぷりがいい。

7位
天禅桃子「フラッター」感想
特に珍しい事件の起きない日常の中で生まれる恋、失われる恋、続く恋。誠実に丁寧に描かれた王道恋愛もの。

6位
原作:木原音瀬・漫画:小椋ムク「キャッスルマンゴー」1感想
木原さんの毒をムクさんのタッチが緩和することで、ムクさんの淡さを木原さんの堅固なストーリーが濃くすることで、門戸を思いっきり開いた良いコラボ。本誌でもまだまだ荒れ模様で読み応えがありすぎる。

5位
えすとえむ「equus」感想
今年はえすとえむさん大活躍の一年でした。趣味に走りまくってもなお独りよがりじゃなく商業作品として完成されている稀有な一冊。

4位
秀良子「リンゴに蜂蜜」感想
地味なんだけどぐさっと刺さる、平凡なんだけどやけにときめく、フシギなんだけど真面目、そんな一冊。秀良子さんは今後がとても楽しみ。

3位
藤谷陽子「るったとこだま」2感想
元ヤンキー?とふつうのこ。同級生で同室で付き合い始める。ありふれた設定だけどキャラが魅力的で、なんでもない日常がきらきらしていてかわいい。

2位
左京亜也「イケズ彼氏の堕とし方」感想
何年、何十年も掛けて構築された、受け継がれてきた少女漫画の優れた技法がBLに導入された作品だと思う。意地悪俺様に振り回されつつもキライになれない、俺様も実はすごく主人公が好き、という少女漫画のテンプレがこれほどまでに活きるとは。感嘆と同時に、今のBL漫画に不足しているもの・今のBL漫画がどういうレベルなのかを痛感した。
その技術・手法が嫌味じゃなく自然のものとして使われている、あくまでも手段であるということがまたすごい。

1位
日高ショーコ「憂鬱な朝」3感想
萌えないところがひとつもない。

**
2位以下はほぼ同じくらい。
「憂鬱な朝」最高ですよ。

まだ自分の中で開発中の小説に比べて、漫画はそれなりの数を読んでいる。読んだ上で思うのは、最近面白いBL漫画って凄く少ない、ということ。厳密に言えばわたしにとって面白い漫画、わたしが面白いと感じる漫画が、少ない。どこかで見た人間関係とお約束の展開、ストーリー。目が滑るような漫画ばっかりで、読みきりであるがゆえに中途半端なところで尻切れのままだったり、力技でベッドシーンに導いただけだったり、びっくりするような矛盾があったり、読んでいて悲しくなるものも多かった。昔に比べてそういう話が多いと感覚的に思うのはわたしが歳をとったから?慣れてきたから?制約が多くなっているから?ともあれBL漫画界は市場が広がっている反面、質の劣化が激しい、と、個人的には痛感している。飽食の時代ですよほんと。
そんな中で面白いもの、自分が面白いと思えるものを探していくしかないんだけどさ。

上記以外では「ネガティブ君とポジティブ君」、「鮫島くんと笹原くん」「あっちとこっち」、「先輩バカじゃないですか?」、「ハッピーエンドアパートメント」、「真昼の恋」あたりも可愛らしくてよかった。
ついに完結した「是-ZE-」も良かったし、ようやく恋愛っぽくなってきた「SUPER LOVERS」は続きが楽しみ。「桃色男子 檸檬編」もいいところで引っ張る…。

「百日の薔薇」は今年も結局出ませんでしたね…。

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posted by: mngn1012 | その他やおい・BL関連 | 23:45 | comments(0) | trackbacks(0) |

2011年BL小説個人的ランキング(と振り返っていろいろ)

10位
凪良ゆう「恋愛前夜」感想
片思いされていた主人公が相手を好きだと自覚してから、両思いになるまでを描いた「恋愛前夜」も良かったんだけれど、そこに至るまでの、友情から恋愛感情への過渡期「隣の猫背」が凄く良かった。ラストにときめく!

9位
榎田尤利「交渉人は愛される」感想
シリーズラスト。前作の「〜嵌められる」「〜諦めない」が余りに良くて、今回はフィナーレというか終章というか、少し落ち着いたまとめの一冊のような印象を受けた。全てのキャラクターが個性的で魅力的で違和感が一切ないあたりが榎田さん。

8位
一穂ミチ「シュガーギルド」感想
再会もの、年の差もの、という焦れったさは勿論良かったんだけれど、旅行に来た主人公の目を通して描かれる北海道の地方都市の現状や自然についてのモノローグがむちゃくちゃ好き。

7位
渡海奈穂「その親友と、恋人と。」感想
わたしは渡海奈穂という作家にこういうとことんまでの切なさを求めているんだ、と実感。ノンケに恋をしたゲイものはこういう切なさと、反動のような甘ったるい幸せがセットになっているのがいい。

6位
高遠琉加「酷いくらいに」感想
作中に引用された「病者の祈り」が凄かったというのが一番の理由なんだけれど、足が不自由なことを理由に特別扱いをされてきたためにそれを疎ましがり、意識しすぎてわがままをいえなくなってしまった秋が最後に吐き出した自己主張が良かった。

5位
ひのもとうみ「遠くにいる人」感想
最悪の攻!でも主人公がことさら良い子で、そんなだめな男が好きだと言うので、幸せになってもらいましょう…。後半の空回りするだめな攻は、ざまあみろと思いつつ応援してしまった。

4位
一穂ミチ「窓の灯とおく」感想
義肢制作、遺伝子研究、お向かいさん、ろくでなしだった親の血が流れていることへの不安。恋愛の要素もそれ以外の要素も魅力的で、疎かになっていなくて、結びつきもいい。

3位
崎谷はるひ「たおやかな真情」感想
個人的にはここ最近の崎谷さんは不調というか合わないと感じることが多い。以前からよく言われている、やけに気のきつい女性キャラや電波じみた女性キャラが前に出すぎていることや、仕事の薀蓄がひたすら述べられていること、なんとも後味の悪い事件が起こりすぎること、が目に余ってきたという感じ。「たおやか〜」も三島の事件という意味では例に漏れずなのかもしれないが、宗教モノが好きなのと、事件に巻き込まれながらも自分達の問題で葛藤する慈英と臣さんがやっぱり好きなのです。「はなやか〜」に比べてこっちはツボだった。

2位
樋口美沙緒「他人じゃないけれど」感想
トラウマから卑屈なほどに謙虚なもらわれっこと、意地悪だけど優しい義理の兄。生活能力のない義父が加わっての家族ごっこと恋愛ごっこと本物の恋愛。せつなくて、今年一番読み返したのがこれ。

1位
一穂ミチ「is in you」感想
あまりに好みで打ちのめされた。熱に浮かされているような読後感が数日続いた恐怖の本。

***
ほかにも「積木の恋」「真夜中クロニクル」と凪良ゆうさんは良作続きでした。完結した「ダブル・バインド」は恋愛ものとしてはオチが弱かったけれど事件ものとして非常に魅力的だったし、「ロッセリーニ家の息子」シリーズの王道っぷりも良かった。
相変わらず一部の作家さんの、中でも暗そうなものを探して読んでいる状態ではあるんだけれど楽しく読めました。
「HARD LUCK」シリーズの続きを書くと菅野さんがあとがきで明言されていたので楽しみ。「毎日晴天!」も…出ると…いいな…。

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posted by: mngn1012 | その他やおい・BL関連 | 13:32 | comments(0) | trackbacks(0) |

Chara Birthday Fair2011 キャラ創刊16周年記念バースデーフェア小冊子C

キャラお馴染みの既刊フェア、今年は小冊子。コミック三種類、小説三種類のうちのコミックのCバージョン。
四作、各四ページの掌編。

・一条れもん「白耀あやかし語り」

・麻々原絵里依「きぐるみプラネット」

・吉原理恵子&禾田みちる「幻惑の鼓動」

・日高ショーコ「憂鬱な朝」
暁人14歳のある日の話。とある理由から桂木の肌を見てしまった暁人は、今まで意識していなかった目で桂木を見るようになる。
暁人のコマに手がきで「めばえ」と描かれている通り、これが暁人のヰタ・セクスアリスだったのだろう。普段きっちり着込んでいるからこそ、桂木が着崩している姿が新鮮だと暁人は感じている。それだけでなく、普段オールバックのかれが前髪を下ろしているのも大きかっただろう。
この頃の桂木は今と比べると暁人に全く心を許していないけれど、かれがまだ子供の分、どこか油断している感じもある。もちろん裏では色々画策しているのだろうけれど、今すぐどうこうしようという雰囲気がない。言う事を聞かない子供を身分など気にせず頭ごなしに叱りつけてる代わりに、あとあと引きずるような様子もない。当時の状況や二人の立場を考えるとあってはならない関係性だけれど、なんとなく大人と子供なので微笑ましい。少ない人間関係の中で甘やかして育てられたゆえに幼さの残る暁人と、年齢のわりに落ち着いてしっかりしている桂木なので、実際より年齢差があるようにも見えるし。
このあとどんどん拗れてゆく関係になるのはまだ先のことだ。きちんとショートらしいオチもついていて面白かった。2巻の限定版小冊子に載っていたノリに近いかなー何としてでも手に入れる、というほどのものではないと思う。
桂木の全身ショット、思わずボトムを確認して安心したのはわたしだけではないと信じたい…本編の褌が衝撃的だったんだもん…。
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posted by: mngn1012 | その他やおい・BL関連 | 23:05 | - | - |

ルチル文庫創刊5周年記念小冊子「rutile souvenir tresor」

今年は21名が参加。コミックスが5本、小説が16本。

・一穂ミチ「クラッシュド・ブルー」 
「藍より甘く」の番外編。出張に出た暁行は、普通のサラリーマンらしい急な代打に慌てつつ、普通のサラリーマンらしくなんとか乗り越えて、普通のサラリーマンらしい酒の席で一息ついている。そういうとても普通な日常、なんてことのない会話の中に、遙を思い出す要素が沢山ある。べつだん遙に関係あるもので満ちているのではなくて、それだけ暁行が遙のことを考えているから。自然とあらゆる思考が遙に結び付くから。それがひとを好きだということなのだろう。そしてそれをうしろめたく思わないでいられること、本人に伝えられる機会を持っていることが、付き合っているということだ。
庭先で勿忘草を見つけて遙を思い出す、その花の季語を聞いて胸が締め付けられる、そういう恋の在り方がとてもいい。みずみずしくて、きゅんとする。
帰りの飛行機、乱気流で大きく揺れる機内に、緊張感が走る。まさか、と、もしかして、の間を行き来するような不安。子供をあやす親、妻をしっかり繋ぎとめる夫、届くかもわからないメッセージを残そうとする姿に暁行は胸を打たれる。こんなときに誰かのために行動できる人の強さを思い知って、けれど、遙に何かを残そうとは思わない。遙がそんなものを求めているとは思わないから。ただ、自分ではどうすることもできない揺れがおさまることを願いながら、遙を思う。
無事に地上に着いた暁行は偶然遙に出会う。久しぶりとか出張がどうとか飛行機があれとか、勿忘草とか季語とか、そんなものは全部放り出して、いつも通りのテンションの遙にいきなり「ホテル行こう」とかれは言う。その支離滅裂さに遙は当然困惑し、不審がり、ちょっと呆れ、その上で事情を聞かずに受け入れてくれる。惚れた弱みで言いなりなのではなく、暁行に何かあったのだろうという信頼と、いつだって抱き合いたいという素直な気持ちから。常時ローテンションな遙が内に持っている芯の強さはこの程度のことでは影響を受けなくて、いい。

ルチル文庫だけでも物凄く沢山のシリーズを持っている崎谷さんは「やさしい傷跡」の数年後の話、砂原さんは「高潔であるということ」のふたりのぎこちないながらも平和な後日談。

そしてようやく到着したと思えば、今月のルチル文庫新刊オビに、「ルチル文庫創刊6周年記念小冊子」の文字が…終わらない搾取…円環の理…。
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posted by: mngn1012 | その他やおい・BL関連 | 21:14 | - | - |

榎田尤利作家生活10周年記念小冊子「交渉人SERIES SPECIAL」

「交渉人は嵌められる」「交渉人は諦めない」「スウィーパーはときどき笑う」の三冊についている応募用紙と、600円を振り込んで手に入る小冊子。

・「HAPPY NEW YEAR」
新年に榎田さんがtwitterでポストしていた、兵頭と芽吹の正月ネタを改稿したもの。大晦日から風邪をひいて寝込んでしまった芽吹の家に、新年が開けてから仕事帰りの兵頭が現れて、さゆりさんが準備しておいてくれた雑煮を作ってくれる、という話。
それほど大きな改稿はないけれど、140文字以内で連投することを有る程度意識していたであろうtwitterと違って、短いながらも当然ながら小説のかたちをしている。
具合が悪い所為もあって、芽吹はいつになく孤独感に襲われる。年末年始で、テレビも街もどこか浮かれてお祭り気分だから余計に一人が辛い。そしてきっとそれだけじゃなくて、今の芽吹は兵頭といる時間を知ってしまったから、なのだろう。濃厚な愛情を向けてくる年下の恋人を時々あしらったりしつつも、かれと過ごす楽しさや安らぎに慣れていた。
散々兵頭を拒んでいた芽吹だが、かれを好きだという自覚を持ち、そして恋人同士になってからは、驚くほどまっすぐに兵頭と向き合っている。照れ隠しで気持ちを偽ったり、適当にごまかすようなことはしない。真面目に恋人を思っている。その腹の括り方が非常に芽吹らしくていい。
食べ物の好き嫌いについて言い合ったり、こっそり相手の器に移したりする何でもない時間が、実は物凄く大切で特別で幸福だということをかれらは知っている。それが実は非常に得難いものであることも、複雑な環境の中で育ったかれらは身にしみて分かっているだろう。
鼻水も含めてかわいらしい。

・キャラクタープロフィール
質問に兵頭・芽吹・キヨ・トモが答えるんだけれど、短い文章にそれぞれのキャラが非常に濃く反映されていて面白い。というか皆いちいち可愛くて地団駄の嵐。底が抜けるくらい地団駄。恋人の好きなところと、直して欲しいところについての返事がもうもうもう!

・周防組組員スペシャルインタビュー
ばかでいいです。英田さんとの合同小冊子で「モーリス」って言った奴が一番ばかで好き。

・奈良千春インタビュー
一問一答形式のインタビューと、小冊子応募対象作品三冊の解説。この解説凄く良かった。奈良さんの絵は以前の方が好きだけど、構図はどんどんセンスが研ぎ澄まされていってると思う。細部にまでアイテムが散らばっていて表紙だけでは確認しきれないのでありがたい。
イラストはたぶん書き下ろし。皆ラブくて可愛いです。キヨトモかわいい…。

・「HAPPY NEW YEAR and I LOVE YOU」
「HAPPY NEW YEAR」の兵頭視点。風邪をひいたから来るなと言うメールを送って返事が来たあと、眠ってしまった芽吹が目をさますと兵頭は雑煮を作っていた。それまでの間、はたして兵頭は何をしていたのか。
芽吹のメールを見た兵頭が、仕事で行けないと返したのは実は少し意外だった。どうせ来るとは思っていたけれど、何もかも放り出して駆けつけそうな気がしていたのだ。けれどかれは新しい年が明ける瞬間を恋人と過ごすような真似はせず、きちんと自分の仕事を済ませた。芽吹にとって仕事が大切なように、兵頭だって自分の仕事を大切にしている。手をぬくこともできるけれど、それをよしとしない。恋に溺れて仕事が手に付かなくなるようなことは望まない。それはかれ自身の考え方であり、芽吹の考えでもある。
芽吹がベットでおせちの奇妙な夢を見ていた頃、兵頭は車の中でしいたけの夢を見ている。ばかばかしいけれど可愛い。謎のファンタジー兵頭。
芽吹が兵頭との何でもない時間を満喫している間、兵頭もまたその穏やかな時間を共有していることを幸福に思っている。
そのあと兵頭の家に移動した二人は、ひょんなことから高校の時の話をする。同じ高校の先輩後輩で、自暴自棄の目をしていた芽吹と、衝動を抑えきれずに芽吹を無理やり抱いた兵頭。二人とも若くて、未熟で、世界とうまく付き合うすべを持たなかった。自分を守ることが出来ずにいた。兵頭がかつての芽吹について語るシーン、決して多くない言葉だけれどその当時の芽吹がどんな風だったのかが凄く良くわかる。芽吹から目が離せず、不器用な生き方で傷だらけになっている芽吹を見て焦燥感に駆られていたのだと、ありありと分かる。そして今こういう関係になったことで、かつて自分がとった行動を悔いているのだと、本当に兵頭は芽吹が好きでたまらないのだと伝わる。
そんな兵頭の気持ちを知ってか知らずか、芽吹は少し先に進んで笑っている。表にあまり出さない強さを持って、全てを許している。
食えない台詞と、隙を突くストレートな言葉を芽吹に向ける兵頭の、おそらくこれからも声に出して語られることはないであろう複雑な本音が見られて良かった。

冒頭に挨拶代わりの謝辞、そして最後にあとがきがあるのだけれど、このあとがきが非常に良かった。震災のことに触れて、芽吹という自分が作り出したフィクションのキャラクターについて語る榎田さんの言葉に、思わずちょっと涙が出た。幸せな二人の日常もいいけれど、このあとがきは反則。
大分と遅れたけれど、許してしまえる出来だった。

惜しむらくはキヨトモが、奈良さんのイラストを除けばおせちのシーンしか、ない…。キヨトモのお正月は…?
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posted by: mngn1012 | その他やおい・BL関連 | 22:32 | - | - |

Heimat Rose復刊記念応募者全員プレゼント/鈴木あみ「Heimat Rose After Story」

「Heimat Rose」全四巻を買って、帯の応募券を送付すると貰える。
文庫に挟んで収納できるサイズにこだわった、というあとがきの通り、文庫よりもふたまわりくらい小さな手のひらサイズの16ページ二段組みの小冊子。

「After Story」と言う名の通り、本編の後の物語。
ようやく、やっと、とうとうついにおさまるべきところにおさまったチュールとレイは平和な朝を迎える。とはいえレイは相変わらず我儘で自信家で素直じゃないし、チュールはレイが何を考えているのかよく分からないと思いながらも一緒にいる。ようやく本当の気持ちを告げたところでレイは変わらないし、チュールもそういうレイに不満を抱いて文句を言いつつ一緒にいるのが楽しいのだろう。お似合いというか、他の誰でもだめだった、お互いしかいない二人、なのだと思う。
かれらと同じノリを共有できる数少ない友人・ラフと合流した三人は、一人の少年と出会う。名前も聞いていない、出自も知らない、けれどその少年が誰なのかはチュールにはすぐ分かった。フェルマノワールと同じ美しさを持った、生意気な口を聞くことに慣れている高貴な少年。かれの生意気さを微笑ましく思って機嫌を取ってしまうあたりがチュールなのだろう。フェルマノワールがどれほどひどいことをしても嫌えなかったように、レイの暴君っぷりを笑って許してしまうように、チュールは少年に優しく接する。
懐かしいひととの再会、二度とかえらないひとの面影をつよく持った少年との出会いにチュールは満たされる。残酷な仕打ちも、胸が裂けてしまいそうに哀しかったことも、喜びも、期待も、絶望も、別れも、全部を含めて「昔のことですから」とかれは言う。多くを語らないかれの、その簡単な言葉にかれの強さが滲んでいる。そういうところにアランが惹かれ、フェルマノワールが複雑な思いを抱いた。あるものは付け込み、あるものは苛立ち、なによりレイがはまってしまった。
あらゆる難関を乗り越えたあとかれらにふさわしい、穏やかな一日の話だった。きっとこれから先も、こんな毎日が続くのだろうと確信させられる、優しい一日。

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posted by: mngn1012 | その他やおい・BL関連 | 19:38 | - | - |

CD「終わりなき夜の果て」特製小冊子/「おしゃべりCD」/アニメイト購入特典SSカード

CD「終わりなき夜の果て」特製小冊子
いーずかムービックの通販限定特典、いつもの小冊子。
・「幸福のかたち」
屋敷で家族が揃った日の夜の物語。国貴に凭れて眠ってしまった和貴が目を覚ましたのち、自室に戻って眠っていると深沢が現れる。国貴に心を許して会話をしたこと、かれの隣で眠ってしまったことを深沢が微笑ましく思ってくれるわけがない。単なる嫉妬ではなくて、どこまでも兄や他者のために尽くしてしまう和貴を心配しているのだ。条件反射的に自分を犠牲にする、持っているものを全てなげうってしまう和貴を知っているからこそ、深沢が制止するほかないのだ。
けれど今の和貴は、昔のかれではない。その証拠に和貴は、最後にはどんな手段を使ってでも深沢の元に戻ってくると告げる。深沢の怒りをおさめたり、自分への攻撃を回避するためのでまかせではなく、本音なのだとわかる。分かるから深沢はそれ以上の追求をせず、話題を変えた。
和貴と深沢の、呼び捨て合戦がこどもみたいで凄く可愛いんだけど、反面、それがデフォルトになってしまうのは嫌だとも思う。深沢はやっぱり敬語+様付けで和貴に接してほしい。今みたいに、たまに呼び捨てにしてどきどきし合ってるくらいが一番すき。そのバランスもちょうどいい。
日本に帰って来て、家族とのわだかまりを解消した国貴は、色々なことを素直に感じられるようになっている。自分がこれまでに傷つけてきた相手のこと、傷つけた行動のこと。心の中で深く詫びて、もう二度と間違えないと誓う。

・インタビュー
さすがに6年、さすがに14枚。野島さんのコメントに頷いたり、納得したり、感心させられたり。神谷さんは相変わらず冬貴の立場を維持するために、敢えて他の人物の心情に触れないようにしている。知らないことがある・分からないままのことがあることが良い方向に作用するって不思議。
福山さんの、和貴は丸くなったっていうか「丸くされた」っていう表現が秀逸だなあ。深沢に丸くされちゃった和貴さま。福山さんの解釈はどんなときでも一歩先にあるというか、見落としてしまいがちなところをすくいあげていて、さすがだと思う。その細やかさとか敏感さがそのまま反映されているような芝居をされる。遊佐さんは6年の間に出来た、寧ろ自分で作ったお約束をちゃんと覚えていて、きちんと今回もそれを踏襲してくれる。クラウディオの名前とか、スケベ父さんとか。お久しぶりのひとも皆勤賞のひとも、基本的に真面目に語っているので読み応えがあって面白い。恒例の一枚目収録の話もあり。

***
CD「終わりなき夜の果て」おしゃべりCD
通販・コミコミ初回特典、野島さんと小西さんのトークCD。しかし清澗寺の世界観と「おしゃべりCD」というすっとぼけたタイトルがあんまりにもアンバランスで可笑しい。
12分ほどのトークCD。収録直後ということで二人のテンションが珍妙。というかフリートークのテンションがそもそも珍妙寄りの二人なので、輪をかけて珍妙。かと思えば結構真面目に作品について語っていた。あまり真面目なコメントは期待していなかったので、思ったより真面目に喋っていて得した気分。
和貴の精神的な成長についての話から、「まさかあんなことをしたら呪縛が解き放たれるとは」と、例の蝶のシーンにふれる小西さん。どうなってるのかいまひとつ想像できないでいたら、遊佐さんが教えてくれて合点がいった、と言う小西さん。実生活の経験の話にもっていく小西さん。しかし野島さんがツッコミじゃないので、適度に乗っかってくれて、二人で分散させて話が終わる。フォローしないままに。疲れてるんだろうな…いいのかなこれ…遊佐さんはとばっちりを受けたような、ひとり勝ちなような。おさすが。

***
「終わりなき夜の果て」下巻・アニメイト購入特典SSカード
下巻の店舗別購入特典、アニメイトの特典は和貴と国貴のSS。上下巻の表紙イラストを合わせたイラストが印刷されたハガキの裏面に、二段組みのSSが掲載されている。表紙の絵にちなんだ、緑の布張りの椅子を買おうとする和貴と深沢、国貴と遼一郎。二人で座るには少し小さい椅子があった時にどうするのか、という二組の答の差がおもしろくてかわいい。

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posted by: mngn1012 | その他やおい・BL関連 | 21:57 | - | - |

ルチル文庫崎谷はるひミリオンフェア/「はなやかな哀情」番外編

崎谷はるひのルチル文庫累計100万部突破記念フェア。新刊「静かにことばは揺れている」を含むルチル文庫の崎谷はるひ作品全点の中から二種類を購入すると、SSカードが貰えるというもの。カードは二種類。

新刊が一冊なのに「二冊買うと特典が貰える」というのは、全てを集めている人に非常に不利なフェアだ。これだけ作品が出てるんだから持っていないものもあるでしょ、ということか。実際わたしはノベルスで持っていて文庫を買っていない作品がある。ただこの手の短編すら手に入れたいと思うのは大抵熱狂的なファンで、そういう人は大半の作品を既に手にしていると思う。いつも搾取されるのは「好き」がつよい方なのだ。どんなやり方にせよBLのフェアは一長一短。

特典カード二種類のうち、「はなやかな哀情」の番外編をひとまずゲット。

***
「はなやかな哀情」<感想>のラストから一カ月後の物語。
なんでもない平穏な日の、なんでもない会話劇。冒頭の会話は「空にみる倖い」を彷彿させる。目の前に広がる空の話なんていう、誰とでも交わせるような会話なんだけれど、普通何も考えずに流してしまうようなことに引っかかって疑問を抱く臣の感性の鋭さと、それを茶化したりせずに真面目に受け止めて応える慈英の誠実さがすごくいい。この慈英の優しい気配りが臣にしか齎されないと思うと余計に、いい。

日常の会話を、そのまま臣への愛情の話にきれいに持っていく慈英。甘ったるいんだけど、あまりにもかれが当たり前のこととして自然に話すので臣も読んでいるこっちも、その内容の甘さに気づくのが一瞬遅れてしまう。臣のうつくしさとか臣への愛を語るときの慈英は可笑しいほど真面目だ。

恋人よりも年上の臣が繰り返し考えていることのひとつに、自分の老いがある。当然かれよりも先に年をとる自分は、この先年齢とともにどんどん容貌が衰えていく。だからと言って今更慈英が自分に愛想を尽かすとは思っていないだろうが、あまりにきれいきれいと言われるので不安になるのだろう。けれどそんなことにも勿論慈英は動じない。と言うより、臣が何故そんなことを不安に思っているのかが本当に分からないような感じがする。ぽかんとしている。飄々とした慈英は、なにかとうつうつとしてしまう臣とぴったり。

相変わらずスケッチブックでああだこうだ言ってる二人が可愛い。本編は記憶が戻ってからの慈英がとても少なかったので、補完出来て良かった。

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posted by: mngn1012 | その他やおい・BL関連 | 20:55 | - | - |

ルチル文庫創刊5周年記念フェア/一穂ミチ「かいがらとほね」

幻冬舎ルチル文庫のいつものフェア。
こちらは番外編を貰うために同じ本をもう一冊買わせようとするSHYのフェアと違って、該当作品の中から一冊買えば希望のリーフレットが貰えるタイプ。勿論書店に配布方法がある程度委ねられているので、そのあたりの判断は店次第なのだけれど、前者はさすがにあくどいと思う。フェア展開することで初めて作品を知る人が勿論いるので、そういう人にとってみれば、「今買うと書き下ろしペーパーが貰える」というのは購入に向けて背中を押されることになる。しかし既に購入していて、番外編を見過ごせないと思う人間にしてみれば、同じ本をもう一冊買うというのは苦痛だ。A作品の番外編のためにA作品をもう一冊買うことになるのだから。
後者はA作品の番外編のためにBを買う、しかもそのBの選択肢はそこそこ数があるという状態なので、まだマシかな。全部持ってるという猛者にしてみればSHYノベルスと同じ展開になるのだが、それはこの際置いておくとして、そうでなければ少なくとも新しい本が本の価格で手に入るのだ。読みたいと思わない本である場合も無きにしもあらずだが、うまく行けば新規開拓できる。好きな作家さんが増えることは読者にとって幸福だし、出版社にとってもそれ以外の本が売れるチャンスになるし、好転すれば二度おいしいと思うのだ。
そしてわたしは文庫のレーベルだとルチルが一番すきなので、ルチルの未読本から一冊買うのはあまり苦痛ではない、という話。

一穂ミチ「藍より甘く」<感想>の番外編SSカードを選択。

・一穂ミチ「かいがらとほね」
本編終了後、付き合いだした二人の短編。
週末ごとに会っている遠距離恋愛のふたり。上京してきた遥は、都合よく家族が出はらっている暁行の家へ、急遽泊まりに行くことになる。久々に訪れた暁行の家で、遥は最初にこの家を訪れたときのことを思い出す。田舎の自分の家とは全く異なる、高層マンション。裕福な家庭で愛されて甘やかされて育ったことが如実に分かるその世界で、遥はもとより期待していなかった恋が本当に叶わないであろうことを改めて実感したのだ。
その家に、今は恋人として来ている。たとえ家人が誰もいないときであれ、恋人だと紹介される日が来るかどうかは分からない現状であれ、そのことは、昔の遥には想像できなかった事実だ。しかし遥は別段感慨深くなっているわけでも、幸福を噛みしめているわけでもない。苦かったその日を思い出すだけだ。幸せ慣れしていないというか悲観的というか、テンションがあまり上がらないところが遥らしくていい。
生まれたときからそういう環境で育ってきた暁行には、その感覚は永遠にわからないだろう。想像さえしないだろう。恵まれたものだけが持つ、そういう大らかさを暁行は持っている。それは寛容さであると同時に、鈍感さでもある。それを遥は理解したうえで、かれの魅力なのだと思っている。確かに本編でも、暁行は悪気のない傲慢さを何度となくみせた。根拠のない自信はそれによるものだろう。長所であり、短所でもあるそれは、おそらく遥が一生かかっても持ち得ないもののひとつだ。
感情表現が薄い遥と、感情を表に出すことを恐れない暁行。自信家の暁行と、自信が持てない遥。気づかいのできる遥と、配慮に欠ける暁行。それがちょうどいい。
ちょっとしたやりとりは友人関係だったときとあまり変わらない。けれどなんでもない会話の端々に、お互いが唯一無二の存在であること、相手をもっと知りたいと願う気持ち、恋人関係であることを匂わせる駆け引きめいた言葉遊びが存在する。そのバランス感覚が好きだ。

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posted by: mngn1012 | その他やおい・BL関連 | 13:59 | - | - |